国内初のシェールオイル、商業化の可能性
原油・ガス開発専業大手の石油資源開発は10月3日、秋田県由利本荘市の鮎川油ガス田で実施しているシェールオイルの実証実験で、地下約1800メートルにあるシェール(頁岩<けつがん>)層からの原油採取を確認した。シェールオイルの採取は国内では初めてとなる。
ただ現状はまだまだ実験の段階。採取された原油の量も日量で約7キロリットルに過ぎない。当面は、今回の実験結果を踏まえて原油の採取可能量や生産性、採算性などの評価を行い、前向きな結果が得られれば、来年度以降に水平掘削・水圧破砕などシェールオイル採取に効率的な採取技術の実証実験に向かう方針だ。
実験・評価作業は2年以上かかる可能性があり、本格的な商業生産の可否や時期は今のところ不明。同社の経営に与える影響についても評価は難しい。シェールオイルやシェールガスなど非在来型資源の採取は、在来型の原油や天然ガスに比べコストがかさむため、採取可能埋蔵量の規模や原油・ガス価格の動向など制約要因は多い。
石油資源開発の秋田鉱業所の山岸裕幸技術部長は、「油を見たことは成果だが、これからきちんと評価していく必要がある。最終的に商業生産ができるかどうかは、まだ未知数が多く何ともいえない。ただ、実証実験によって技術的な知見はだいぶ積み重ねられていると思う」と話す。
同社では鮎川油ガス田の採油可能なシェールオイルの埋蔵量を500万バレル程度の推計している。また、秋田県全体の埋蔵量は1億バレルに上るとの専門家推計もあるが、それでも国内で年間に消費される石油の1割弱にとどまり、埋蔵量としては大量とは言いづらい。
将来的に同社では、今回の鮎川油ガス田だけではなく、同じく県内の既存施設である申川油田などでも採取の可能性を探っていく方針。同県外での開発の可能性もある。将来的に埋蔵量が拡大することも十分考えられる。また同社は、大量の埋蔵量が確認され「シェールガス革命」の期待に湧く米国において、シェールオイルの開発権益を一部取得(テキサス州)しており、そこで得られる開発技術やノウハウを日本国内の非在来型石油ガス開発に生かしていきたい考えだ。今回のシェールオイル初採取はまだ小さな一歩にすぎないが、大きな将来性を秘めているとも言える。
(中村 稔 =東洋経済オンライン)
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