ずさんな原発運営のツケに苦しむ電力業界 再稼働のハードルは高い

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再稼働については原発が立地する地元の反発もある。「現状では再稼働の問題は議論すらできない」。東京電力・柏崎刈羽原発がある新潟県の泉田裕彦知事は、福島原発事故の徹底検証こそ先決と繰り返す。

電力会社は原発再稼働の前に、地元自治体と原子力安全協定を結ぶ必要がある。法的根拠はないものの、地元の同意は不可欠だ。だが、東日本大震災を機に原発の安全性や電力会社に対する信頼は失墜。福島、新潟両県や浜岡原発のある静岡県をはじめ、地元自治体における再稼働・新増設への反対論、慎重論が広がっている。

国の新たな原子力災害対策指針では広域避難の目安が原発30キロメートル圏内に拡大され、防災計画策定が必要な自治体数も急増。こうした中、原子力規制庁が10月下旬に公表した放射線拡散シミュレーションで相次ぎ誤りが露見したことは、原発行政に対する不信感を一段と増幅した。

人件費カットが焦点に

混沌とした状況下、原発の再稼働は早くても2013年夏以降となり、原子炉によっては再稼働できなくなる公算が大きい。運転再開が遅れることで代替として燃料費の高い石油、ガス火力を増やすと電力会社の収益は低下する。

特に原発依存度の高い電力6社は12年4~9月期は営業赤字と苦しい経営が続いている(表)。こうした中、今期営業赤字が2500億円を超すとみられる関電と九州電力は東電に続き、電力料金値上げ申請の準備に入った。また、北海道、東北、四国各電力も値上げ検討を示唆。値上げ実施なら、オイルショック後の1980年以来約30年ぶりとなる。

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