ジャパンディスプレイ、「スマホ依存」のツケ 「アップルの不振」と「サムスンの攻勢」受け暗雲
ジャパンディスプレイへの不信の背景には、”スマホ依存”に対する危惧がある。ジャパンディスプレイの売上高のうち、8割以上をスマホ向けの販売が占め、4割以上をアップル向けの販売が占める。そのため、スマホ市場ないしiPhoneの販売動向に業績が大きく左右される構造になっている。
加えて、今年に入り価格競争力で勝る中国液晶メーカーの新工場が相次いで稼働。液晶相場のさらなる下落が予想され、市場環境は厳しくなる一方だ。
従来から問題視されていた「スマホ依存度の引き下げ」が、ジャパンディスプレイの喫緊の課題として迫っている。
スマホ以外の将来の安定収益基盤として、ジャパンディスプレイが最も有力視しているのが車載市場だ。ヘッドアップディスプレイや電子ミラー、電子メーターなど、車の電装化が進むことによって、1台あたりのディスプレイの数は今後増加が予想される。液晶メーカーにとって車載ビジネスは数少ない有望市場といえる。
韓国メーカーに引けを取らない有望市場
また、次世代ディスプレイと目される有機ELは高温に弱く、車載向きではないとの見方もあるため、有機ELの量産化で先を行く韓国メーカーに引けを取らないのも魅力だ。
ジャパンディスプレイは高精細で低消費電力の液晶技術「LTPS」を武器に、完成車メーカーや自動車部品メーカーに食い込む方針。2021年には車載ディスプレイ市場が1兆円規模になると見込んでおり、その中で3000億円以上の売り上げを目指す。実現すれば、スマホ依存度は50%程度まで下げられる計算だ。
ただ、車載向けビジネスは、売り上げに計上できるまでの期間が長い。新車開発には数年を要するからだ。今期の営業活動が売り上げに寄与するのは2年半~3年後。足元の成長維持へ、並行して高精細ノートPCやタブレット向けの中型液晶事業を育成するとしているが、PCはスマホ以上に市場環境が悪化しているだけに、成長エンジンとなるかは不透明だ。
また、近い将来iPhoneに搭載されるとみられる有機ELの量産化を2018年目標に進めており、今期は研究開発費や設備投資による減価償却費がかさむため、収益維持は容易ではない。
液晶業界のかつての覇者・シャープは競争激化に耐えかね、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の支援を仰いだ。日立・ソニー・東芝の中小型液晶部門が統合した日の丸連合・ジャパンディスプレイはこの難局を切り抜けることができるのか。我慢の時を迎えている。
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