このように初期段階で「なんだか気が合わない、虫が好かない」という気持ちをあえて言語化させ、相互理解を超えて、パフォーマンスの高い状態へと持っていけるとよいでしょう。
「なんであの人は……」はこうしてなくす
チームメンバーがなかなか理解しあえない理由として、自分と相手の事情が違うことがお互いにわからないことが原因であることもありますね。多様な人材が集まったチームの初期段階は、その多様性が逆に互いの足をひっぱってしまうことを覚悟しておいたほうが、余計なストレスを溜め込まなくてすみます。
「能力」や「考え方」が多様なメンバーが集まっている場合は、前述したようにお互いの仕事についてフィードバックをしあうことで、ある程度解決できますが、チームメンバーが抱える「事情」がかなり複雑である場合は打つ手も変わってきます。本人が抱える事情というのは必ずしも仕事と直結していないため、フィードバックしづらいからです。
男女の差もあれば、育児や介護をしていたり、病気を抱えていたり、仕事以外のことで強く情熱をかたむけていることがある……などのさまざまな違いがあった場合、自分の事情を前面に出すことは難しいため、お互いに事情がわからないがゆえに不満がたまることはよくありますね。
少し想像してみてください。たとえばチームが忙しい時期に、あるメンバーが「ジムにいくから早く帰りたい」と言ったとしたら当然不満に思う人が多いでしょう。それが、「数年かけて鍛えて準備してきたトライアスロンの大会が週末に控えている」という事情を知れば見方は変わってくるのではないでしょうか?
このような個人的事情を、必要な範囲で公開してしまおうというのが「私のトリセツ」です。チームがスタートして間もない時に、本人が差し支えない範囲で、「自分にはこういう事情があるため、可能であればサポートしてほしい。その代わり、自分はこういう貢献をみんなのためにする」という個人的事情を共有するというものです。
ポイントは「育児があるから普段は早く帰るけれども、水曜日なら担当外業務も全面的にやります」など、自分の事情を一方的に押し通すだけではなく、自分がほかのメンバーにできる貢献とセットで話してもらうところです。
色々な事情があるのはお互い様。お互いにカバーしあえるチームに早くなるためには、「なんであの人は…」という不満がたまる前にトリセツを共有しあってみてください。
単に人が集まっただけではチームではありません。お互いを尊重し、同じ方向を向けるようにうまく混乱期を抜け出すことで、どこに行っても「最高のチームで仕事ができた」と言えたら、すばらしいキャリアにつながるでしょう。
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