大丸、ビックカメラ、ユナイテッドアローズ、マルイなど大手小売店が来店促進を狙いスマポを導入。12年10月には、SHIPS、JOURNAL STANDARDなど新たに24の人気アパレルブランドがスマポに参加した。
12年11月1日には、三井住友カードもスマポを活用したO2O実証実験を開始。さらなる利用店舗の拡大が進められている。
IT革命により、最小限のコストでビジネスを立ち上げ、拡大できる環境が整った。企業規模よりも、スピードとアイディアが成否を分ける決定的な要因となる。
スタートアップ企業が、日本発O2Oサービスを引っさげて世界に打って出ることも十分期待できる。前述のRettyは、その第一の矢と言えよう。
新しい消費者が台頭する
O2Oという潮流は、決して一過性ではない。これまでのネットブームの用語とは根本的に異なる。
現在、国内における「インターネットによって喚起されている消費」、すなわちO2Oの消費規模は、約21兆8000億円といわれる。
この数字は、年間の家計支出品目のうち、リアル店舗などで消費されたものの約2割のボリュームだ。これに対し、Eコマースの市場規模は、2ケタ成長を続けているとはいえ、7兆8000億円にとどまる(数字はすべて「インターネット経済調査報告書」野村総合研究所、2011年)。
スマートフォンの普及で、常時ネットにアクセスできる消費者が増えている。リアル市場での消費の促進にネットを活用するO2Oの動きは、今後さらに拡大されることは間違いない。
ソフトバンクの孫氏は、今後日本のO2O市場は、先行するアメリカ並みに成長していき、現在の約2割といわれる消費規模から約5割になっていくと見ている。
筆者は2012年1月から、約8カ月にわたり東洋経済オンラインで「O2Oビジネス最前線――黎明期を迎えた新・消費革命」を連載した(「O2O新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける」として書籍化)。
取り上げた企業は、ローソン、良品計画、セブン&アイ・ホールディングス、東急電鉄などのリアル企業、Google、Yahoo! JAPANなどのネット企業。そして通信キャリア企業であるソフトバンクやKDDIといった、まさに各業界のトップ企業ばかり。O2Oの黎明期を巨人たちが切り開いているという印象を受けた。
そして、今――。
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