「男性不況」が、所得格差の犯人? 男女格差の縮小が家計間格差を広げる

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縮小

稼げる女性が増えると家計の間に所得格差が生まれる

「男女間の給料格差の縮小に、家計間格差拡大の原因がある」といわれても、ピンとこない方もいらっしゃると思いますので、ここで、簡単なモデルケースを使って、格差が広がるメカニズムを説明しましょう。

ケース1:厳格な男女格差が存在するケース

 まず、男性5人、女性5人、合計10人の従業員がいる会社を考えます。

この会社は、極めて古い職業観が残っており、男性と女性の給料に明確な差を設けていて、男性の給料はすべての女性従業員を上回るように設定しているとします。

また、5人ずついる男性従業員、女性従業員はそれぞれ10万円ずつ給料に差がつくように設定されていて、男性は60万円から100万円まで、女性は10万円から50万円まで個々人によって給料が違っているとします。

この会社は、男女に明確な給料差を設けているので、当然、男女間の給料には大きな格差があります。平均で、男性を100とすると女性の給料水準は37.5と、非常に低く抑えられています。

この会社の中で何組かカップルが誕生し結婚する場合、結婚後に最も多くの給料をもらえるのは、男Eさんと女Eさんの組み合わせで、2人合わせると給料は150万円になります。

一方、男性の中で最も給料の少ない男Aさんが、仮に女性の中で最も給料の少ない女Aさんと結婚すると、2人の給料は合計で70万円になります。この2人のペアが、この会社の中で最も給料が少なくなる組み合わせです。

先の男Eさん・女Eさん夫婦の給料と、男Aさん・女Aさん夫婦の給料を比較すると、2.14倍の差がついていることがわかります。

この比較は、最も給料が多くなる組み合わせと、最も少なくなる組み合わせを取り上げて比べているので、ほかの組み合わせが生まれたとしても、格差は先ほど計算した2.14倍を超えることはありません。

つまり、この会社内で生まれるカップルの結婚後の最大の給料格差は2.14倍ということになります。

ケース2:高所得女性の出現で格差は広がる

 次に、この会社が人員を5人増やすケースを考えてみましょう。

今までいた男性従業員並みに働く女性従業員を新たに5人雇うことにしました。男性並みに働いてもらうために、新しく雇った5人の女性には男性社員と同額の給料を用意しました。

この5人にも、もともといた男性従業員と同様に、一人ひとり、10万円ずつ給料に差がつくように設定したので、新しく入った女性従業員の給料は60万円から100万円になりました。

つまり「高所得女性」が出現したことになります。

このケースでは、女性の平均賃金がだいぶ高くなったので、平均すると男性100に対し女性68.5と、両者の賃金格差は随分と縮まりました。

ケース1と同様に、このケースでも、最も給料が高くなるカップルと、最も低くなるカップルでどれだけの格差が生じるのか、計算してみます。

最も給料が高くなるのは、男Eさん・女Jさんの組み合わせで、結婚後の給料は200万円です。一方、最も低くなってしまうのは、男Aさん・女Aさんの組み合わせで、給料は70万円です。

両者の差は2.86倍と、ケース1の2.14倍に比べて格差が広がってしまいました。

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