熊本地震、「災害廃棄物」処理という重い課題 業界の異端児「くませい」が奮闘している
「被災した社員の中には『この世の終わりだ』と報告してきた者もいる。だが、避難所の悲惨な光景を見て、自分たちはまだマシだと、前を向いて仕事に取り掛かったようだ。もともと下を向いている人間ではうちの仕事はできない」と村平社長ははっぱをかける。
その現場では、震災に伴ってさまざまなものが災害ごみとして出されている。被災家屋の一部や壊れた家具を中心に、素材も大きさも交じり合ったものが道路脇にうずたかく積まれる。市は通常ごみの収集を一時中止し、災害ごみの収集、処理を優先した。
それでも注意すべきなのはエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機のいわゆる「家電4品目」やパソコン。これらは災害時でも原則、家電リサイクル法などにのっとってリサイクルに回すため、自治体は収集しない。現場の社員によると、「地震発生当初は災害ごみに混じってかなりの量が出されていた」が、市の広報などの効果で減少し、5月上旬現在は出されていてもきちんと処理券が張ってある状況まで落ち着いてきたという。
ごみ焼却炉がボイラー破損のため稼働停止
しかし、熊本市では東部環境工場のごみ焼却炉が地震によるボイラー破損のため稼働を停止中。福岡市や北九州市などの施設でカバーしているが、処理は追いついていない。
「余震もある中で当面は大変な状態が続く。でも暗いことを考えていても仕方ない。全国から励ましを受けているので逆に心強く、熊本復興のため皆一丸になっている」と、現場は村平社長の言葉通り、一歩ずつだが前に進んでいる様子を伝える。
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