特に2004年3月から販売している「強粘着シリーズ」に注目したい。これは、紙に貼るのではなく、PCの筐体やホワイトボードに貼るというような昨今のオフィスでの使われ方に対応して、はがしやすさは保ったまま、粘着力を通常品の2倍に強化した製品である。外部環境の変化に対応しているのだ。そうした展開の結果、ポスト・イット(R)製品は国内だけで400種ものSKU(最小在庫管理単位、Stock Keeping Unit)にのぼる多様性を見せているという。
オフィスの外に飛び出せ―新市場開拓
しかし、それでも、国内の糊付き付箋製品の市場は、ここ数年、成長を見せていない成熟市場となってしまっているという。故に、3Mの日本法人である住友スリーエムとしても、ポスト・イット(R)製品を積極的に「オフィスの外」へ提案する必要が生じている。つまり、新規の顧客/市場に既存の製品を販売する「新市場開拓」戦略である。ターゲットは主に教育とパーソナルユースに置いているという。
教育用で注目なのは「辞書引き用ふせん」だ。これは、中部大学の深谷圭助准教授が提唱する、自ら学ぶ習慣が楽しく身につく勉強法として注目を集める「辞書引き」学習専用に開発したポスト・イット(R)製品である。かなりニッチな市場であるが、付箋紙を大量に使用するという相性のよい学習法を見逃さずに市場拡大を狙っていることがわかる。
こうした専用のポスト・イット(R)製品を発売するだけでなく、付箋紙を用いたKJ法(データをカードに記述し、カードをグループごとにまとめていく手法)を学校に提案するなどの展開も行っているそうだ。
一方、パーソナルにおけるメインターゲットはポスト・イット(R)製品にオフィスで慣れ親しんだOLだ。男性は手帳の電子化が進んでいるが、女性は紙の手帳の愛用者が多いことから発案したターゲティングであるという。
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