「ベンチャー・チャレンジ2020」が目指すもの 起業家を強力支援する「省庁間連携」

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まずは、各省庁の支援策の共同PRやイベントの合同開催など、可能な連携から手をつけていく予定となっています。たくさんの支援策があるのに十分に知られていない、申し込み期間が短く十分な準備ができないなどの課題解決を図ります。また複数のイベントを集中した期間に実施し(たとえば、ベンチャー・ウイークとしての集中開催)、集客やマッチングの相乗効果を狙うことも検討されます。

また、不確実性が大きく、変化の激しいベンチャーの支援においては、民間のセンス、ネットワークを中心においた施策の実施や組み立てが重要です。特に、経営面の支援や、先端分野へのリスク資金の投入などの分野では、行政官の判断には限界があり、民間のビジネスパーソンの知恵や経験が必要です。

そこで、ベンチャー・チャレンジでは、民間人で構成されるアドバイザリーボードを設置し、支援案件や政策の実施へのアドバイスをしてもらうことにしています。アドバイザリーボードは、ベンチャーキャピタルの代表や、経済団体の代表、成功した起業家、弁護士・公認会計士などの専門家で構成され、民間の力をベンチャー政策の舵取りに取り入れていく予定です。

効果の出るベンチャー支援に向けて

政府の各省庁は、それぞれの設置法に規定される任務と所掌事務の中で、政策目的を実現するべく、施策を展開しています。専門的に深い施策を実施すべきところが多いのが事実ではあります。

しかし、ベンチャー支援のような新しい政策分野では、さまざまな角度から支援を実施し、互いに連携することでシナジーが生まれ、施策の効果が向上すると考えられます。各省庁ではこれまでの取り組みで、それぞれの業界にネットワークや支援メカニズムを持っていますが、たとえば、施策情報を流すネットワークを共有することで、新しいグループへのアプローチが可能になります。

また、日本では、ベンチャー支援を十分にできる腕利きの支援人材は民間の中にも十分には存在しないのが現状です。限られた腕利きの支援人材の能力やネットワークは複数の支援プログラムで活用すべきです。さらに、海外の起業家や投資家への打ち出しも、各省庁が連携し、政府としてワンボイスで伝えるほうが、インパクトが出てきます。

ベンチャー・チャレンジ2020を機に、政府のベンチャー支援策が一体となり、ベンチャー・エコシステム形成の社会運動が広がることを期待しています。日本経済再生本部の指示の下で、経済産業省のベンチャー支援も各省庁と連携した動きで進めることができればと考えています。

石井 芳明 経済産業省 新規事業調整官

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いしい よしあき / Yoshiaki Ishii

経済産業省 経済産業政策局 新規産業室 新規事業調整官。1965年生まれ。1987年、岡山大学法学部法学科卒業。1996年、カリフォルニア大学バークレー校 留学(公共政策 単位履修生)。2000年、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科卒業(国際経営学修士)。2012年、早稲田大学大学院商学研究科卒業(商学博士)。1987年、通商産業省(現・経済産業省)入省。中小企業・ベンチャー企業政策、産業技術政策、地域振興政策等に従事。1997年、同省工業技術院国際研究協力課、2000年、中小企業庁経営支援課、2003年、経済産業政策局産業組織課、2006年、中小企業基盤整備機構資金支援課、2007年、同ファンド企画課、2008年、大田区産業経済部産業振興課課長、2011年、地域経済産業グループ地域経済産業政策課を経て、2012年から現職。

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