新常識!肉を焼くなら「冷たいフライパン」 あなたの料理が劇的に変わる3つのコツ

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もちろん、火力を弱めれば調理に時間がかかるだろう。しかし、その分慌てずに調理でき、同時進行で複数のメニューをこなせるうえに、料理を焦がす心配もなく、中までじっくり火を通せる。低速調理はむしろメリットのほうが多い。

 もうひとつ提唱したいのは、「塩加減」。「これが正しければ料理は完成する」と断言したい。塩は、素材に直接働きかけ、味を引き出す最大の調味料。しかし、レシピ特有の「適量」「少々」などの曖昧な表記に頭を悩ませる人も多いだろう。これにも科学的な回答がある。それが、「素材の重さに対して0.8%の塩」というルールだ。

脳が「うまい!」と感じる塩分0.8%ルール!

塩の振り方にもコツがあります

このルールさえ頭に叩き込めば、120gの肉なら「120g×0.008=約1g」とたちどころに算出可能。しかも、肉、魚、野菜などの素材を選ばず、すべてに統一の基準と、単純明快だ。塩のふり方にもルールがあり、片手で計量スプーンの端を持ち、もう一方の手で柄の中央あたりを叩きながら少量ずつ落としていくのがいい。

ではなぜ、最適な塩分は食材の重さの0.8%なのか? 実は、この塩分濃度は人間の体液の塩分濃度とほぼ同じであり、脳が本能的に「おいしい!」と感じる濃度なのだ。ただし重要なのが、「調理後の食材の重さ」を基準にすること。オムレツなら、卵を焼く間に水分が失われるため、焼く前の卵の重さの0.7%の塩が適量など、素材や調理方法によって計算方法にポイントがある。

塩加減でもうひとつ重要なのが、浸透圧の関係だ。簡単に説明すると、浸透圧とは「塩が水を引っ張る力」のこと。じゃがいもなどの固い野菜をゆでるときに煮くずれしてしまうのは、外部より内部の塩分が多く、ゆで汁を内部に引っ張り込んでしまうから。これを防ぐためには、野菜の内部とゆで汁の塩分濃度を同じにすればよい。「塩分濃度を同じにすれば、野菜が水分を失わないため、シャキッとゆで上がる」。そう、すべては科学の話なのだ。

なお、パスタについては、水1リットルにつき塩1.5%がベスト。これは、水分蒸発や塩析効果を考慮した数値だ。塩析効果とは、塩水の中でタンパク質が固まってパスタの表面に壁を作り、パスタの小麦粉が溶け出しにくくなる作用のこと。この作用が、いわゆる「麺にコシのある」状態をつくる。実際に、このとおりにパスタをゆでてみると、絶妙な塩気を持ち、歯応えと弾力のあるアルデンテに仕上がった。パスタ料理は、パスタをおいしくゆでることが最も重要だ。

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