究極の健康食「クレタ島式ダイエット」の秘密 地中海に浮かぶ島が世界的に注目されるワケ
ダイエットは多くの人の関心事で、その手法も日々変化している。しかし、わずかずつではあるが、われわれは古代ギリシャの人々が心得ていたことに気づき始めてきている。すなわち、食べ物は、ただ口に入れて飲み込むよりもはるかに重要な存在であるということだ。実際、クレタ島に住む人々が古代から実践してきた食習慣が現在、再び支持されてきている。
近現代における食物と健康の関係に関する研究の最初の発見は、約70年前にさかのぼる。当時隆盛を極めた米国では、心臓病の増加が問題となっていた。米国の研究者アンセル・キースは、大戦で疲弊していた欧州、特に貧困による打撃を強く受けたクレタ島では心臓病の発生がまれであることを発見し、その原因は島民の食生活と生活習慣にあると結論づけた。
クレタ島の人々は誰が見ても健康
カトリック教会が実施してきた断食の習慣が1940年代には忠実に守られていたため、キースの研究は当時から批判され続けてきた。しかし、クレタ島の人々が一般的に見て健康なことは、誰の目にも明らかだった。
私がクレタ島を訪れたのはキースの訪問から20年後だ。遺跡発掘の学生ボランティアとして滞在したが、発掘現場に到着するまで1日以上かかった。当時、舗装された道路は島全体で40マイルに満たなかったのだ。最寄りの村に行くには2時間歩かなければならなかった。私が訪れた時のクレタ島は、キースが訪れた当時からあまり変わっていなかった。
そこで過ごした何週間かは、ロンドンの自宅にいる時よりも、はるかに健康だと感じた。理由は食べ物、そして友人や知らない人々と相席して食べる食事にあることは分かっていた。つまり、その健康はクレタ島での食生活によるものだった。
それから現在までの長い間、様々な種類の食物の利点やそれらを使った料理、特に地中海式ダイエットについて非常に多くの研究がなされてきた。