iPhoneSEが「低価格化」で狙う果実とは何か その答えは中国市場にあった
iPhone SEを単純に説明すると、「最新の性能」、「小型を好むユーザーのための4インチディスプレー」、「iPhoneとして、これまでにない低価格」の3点を実現したスマートフォンだ。アップルにとって、最も戦略的だったのは、3点目の低価格の部分だろう。SEは、16ギガバイト(GB)モデルで399ドル、64GBモデルで499ドルだ。
対して、4.7インチの6sは16GBモデルで649ドル、5.5インチの6s Plus 16GBモデルは749ドル。2014年発売で現在も併売が続くiPhone 6 16GBモデルも549ドルに設定されている。画面は小さいものの、6sと同等の性能で250ドルも安い価格設定は、インパクトのある数字だ。
日本市場でもSEはオトクだ。アップルは4月22日、発売して1カ月も経たないSEについて、一律5000円の値下げを行った。これは年初より進行した円高ドル安を反映したもの。約132円だったドル円の換算レートは、約120円に修正された。
中国では売れている?
この安さが影響をしているのだろう、iPhone SEは発表後、中国市場で340万台以上の予約を得たと見られている。iPhone 6s・iPhone 6s Plusの予約数が、3日間で1300万台だったことに比べれば、低調な出だしと言うべきかもしれないが、それでも大きな数字だ。
おひざ元の米国市場では、Apple StoreでもSEが手に入りにくい状態が続いているが、最も販売が期待できる中国市場へ、在庫が振り向けられていることが原因ともみられる。
その中国市場では、iPhone SEが一定のインパクトを与えつつあるようだ。DIGITIMESの記事によると、台湾のスマートフォン部品のサプライチェーンの話として、iPhone SEの発売による影響を指摘している。中国スマホ向けにカメラモジュールを供給しているメーカーは、予測の7割から8割のオーダーに留まっているという。
中国やインドにおいては、50ドル台からスマホがあり、5.5インチ液晶と64ビットオクタコアCPUを備えるモデルも100ドル台前半で手に入る。こうした市場においては、4インチのiPhone SEの399ドルという価格はまだ高い。それでも、中国のスマホメーカーの販売を圧迫しつつあるとの見方が出てきた点は、興味深い変化だ。
iPhoneの新モデルが登場すると、すぐさま分解され、使われているパーツが分析される。調査会社のIHSによると、iPhone SE 16GBモデルの原価(部品と組み立てのコスト)は160ドルと試算された。販売価格は399ドルであることから、239ドルが儲けとなる。
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