iPhoneSEが「低価格化」で狙う果実とは何か

その答えは中国市場にあった

最上位モデルとなるiPhone 6s Plusは、部品と組み立てコストで236ドルと試算されており、販売価格749ドルとの差額(儲け)は513ドルに上る。こうした比較からすると、iPhone SEが、これまでのアップルのスマートフォンビジネスの中では、かなり利益を圧縮していることがうかがえる。ただし、それでも160ドルのコストに対して、239ドルの差額を確保しているのだ。

カナダの投資会社Canaccord Genuityの分析によると、2015年にスマートフォンビジネス全体に占めるアップルの利益シェアは94%にものぼったという。多数の調査機関はiPhoneの台数シェアを15%程度と分析しており、グーグルのOS「Android」を使用したスマートフォンと比較すると5分の1以下に過ぎない。しかし、高い価格設定と高いマージンにより、圧倒的な利益を確保していることがわかる。

iPhone SEは、こうしたiPhoneの特異な高収益体質を変化させる可能性がある。これまで通りの利益を出すためには、iPhoneの販売台数を上積みすることができるかどうかが、今後の課題だ。ただし、iPhone SEについても、組み立てコストは価格の4割にとどまっている。低価格モデルでも利益が出せる点は、他のスマートフォンメーカーとの戦略の違いが明確だ。

コンテンツ販売など周辺ビジネスが重要に

アップルは、米国時間の4月26日に2016年第2四半期(1-3月)決算を発表する予定だ。この決算には、3月31日発売のiPhone SEの影響が表れているとは思えないが、アップル自身も前期決算発表において、iPhoneの販売台数の前年同期比割れの可能性も指摘していた。

アップルは、2015年末のホリデーシーズンを含む2016年第1四半期(10-12月)決算において、iPhoneの販売台数が前年同期からほとんど伸びなかった。これはiPhone史上で初めてのことだ。

iPhone SEは、その対策として準備されてきた製品であり、iPhoneの販売台数をさらに成長させていくための重要な役割を担っている。iPhoneの販売が伸び続けることは、iPhoneの魅力を支えるアプリと、これらを開発する開発者にとって、重要だ。

競合するAndroidは、Google Playストアでアプリを配信しているが、その数はApp Storeのアプリ本数を上回るようになった。調査会社のApp Annieによると、Google Playストアでのアプリダウンロード数は、App Storeでのダウンロード数の2倍となっている。しかし、デバイス販売の収益性の高さと同様に、App Storeからの収益は、Google Playストアの約2倍だ。特に、2015年第1四半期から2016年第1四半期にかけて、中国市場でのApp Storeの収益は2.2倍に伸び、中国は日本を追い抜き、アプリ収益において、米国に次ぐ世界第2の市場へと成長した。

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