不合格者が少なすぎるため、合格率50%となるボーダーが、どの偏差値帯においても存在しないことを、「BF(ボーダーフリー)」という。これに該当する大学は、いわゆる「Fランク」大学と呼ばれており、聖学院大学もこのランクに属する。聖学院大学では、入試方法もユニークだ。AO入試の中には、講義を受けたあとに学生がノートを清書し、それを元に面接をする方式など、多様な形がある。
学費は、4年間で450万円。これに生活費が加わることで、学生は卒業までに約800万円程度を負担することになる。一般的な文系の私立大学なら、この程度の費用がかかることは普通だ。聖学院大学では、「面倒見のいい大学」であることを、大学の強みとしてプッシュしている。
「"面倒見がいい"ことをウリにすると、面倒を見てあげないといけない学生ばっかり来てしまうんじゃないかという懸念もあり、実際その通りになっている面もある。正直なところ、本当は大学に来てる場合じゃなくて、働いた方がいいかもしれない、という子がいることは否定できない」(柴田教授)。
アルバイトを優先して留年も
講義の出席率は、7割弱だという。文部科学省からの目も厳しく、最近は出席を取ることは当たり前で、講義に誰も来ないといった状況は起きていないようだ。しかし、学業以外のことに関心が向いている学生も少なくない。どのようなことに関心が向いているかというと、それは飲食など、サービス産業のアルバイト。もはや大学教育のライバルといっても過言ではない存在だ。
「仕事があって、人間関係があって、面白いわけですよ。しかも、深夜だと賃金が25%割増になる。夜間のバイトの方がペイもいいし、使う方も『人手が足りないから、ぜひ来てくれ』となる。そんな学生は、4~5時までバイトを一生懸命やって、授業に出ていても寝ていることも多い。朝9時から元気に授業を受けるのは、厳しいのでしょう」(同)。
目先のバイトを優先して講義に出ず、結局留年してしまうケースもあるという。奨学金を借りて大学に来ても、その時間をアルバイトに振り向け、年間の学費80万円を無駄にしていては本末転倒だが……。
「もちろん、アルバイトをしないと生活が難しい場合もあるし、それをこなした上で一生懸命勉強して、成果を出している人もいますよ。ただ、バイトを全力でやって月に20万稼げるとなると、就職活動から逃げてしまう人も……。『苦労して就職活動して、大学を卒業しなくても同じじゃないか。バイトでいいじゃないか』って、浅薄な判断になっている」(同)。
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