ネズミ講が自己啓発と結び付いた最大の理由

「自分は何でもできる」と思う人を育て上げる

さらに、ウィリアム・ペン・パトリックはホリディマジックを運営しながら、管理職になりたい人はこの自己啓発セミナーに参加するようにと、同じく強制した。

自己啓発セミナーの展開

ホリディマジックは前述のとおり倒産した。しかし、ホリディマジックが社員変革として、自己啓発教育を活用した“影響”は大きかった。後発の自己啓発セミナー会社は、たとえば人生変革プログラムをカセットテープに吹き込んで50万円セットで販売した。それを紹介すると、10万円のインセンティブがもらえ、紹介人数が増えるとインセンティブ率が上がる仕組みだ。ここまで説明すると、ホリディマジックのシステムと類似していることがわかる。

ただホリディマジックは、あくまで化粧品を介在させたが、ここにいたっては、化粧品という商品すら存在せず「自分を変えてくれる情報」そのものが仲介することになる。

その後、米国で「ライフスプリング」という自己啓発セミナーに関わったロバート・ホワイトが1977年に日本で「ライフダイナミックス」を設立する。日本でその後、筍のように登場した自己啓発セミナー会社は、「ライフスプリング」あるいは「ライフダイナミックス」を元にした。

もともとロバート・ホワイトはセールスパーソン養成マニュアルを販売する「アメリカンマスターズ」を設立するために来日していたのだった。ここでも、セールスと自己啓発という共通点が興味深い。

ただ、初期の段階では、さほど隆興していない。やはり高額ゆえか、その金額を払える人たち(アーリーアダプター)は限られていた。また、米国で流行していたヒューマンポテンシャル運動がまだ完全に浸透しているとはいえなかった。通常のビジネスパーソンは、目の前の仕事に全力投球することに忙しく、「ほんとうの自分」を探す必要もなかった。

日本での流行は、バブル期になり、人々が豊かさを実感しはじめたときだった。

<続く>

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