この「自分で自分を変えられる」という考え方は、当然ながら、「自分はなんでもできる」という思考につながっていく。自分の行動と思考レベルを高めれば、仕事人としても十分な成果が出るはずだからだ。そして、「望んだ結果は、必ず手に入る」ということになる。
米国で花開いたヒッピー文化は、カウンターカルチャーと呼ばれる文化をも生み出した。そしてヒッピー文化の構成員たちはニューエイジとも呼ばれ、自然と同化し、そして無限の潜在能力を秘めていることを説いた。
レヴィンやエスリン研究所は、まだ、純粋な人間への関心と学問的興味から手法を生み出していた。いくつかの学術研究からも、現代の臨床心理学につながった側面が見て取れる。しかし、それをビジネスに展開しようとするひとたちも、やはり現れていく。
有名なところを述べると、アレクサンダー・エベレットは「マインド・ダイナミックス」社を設立、ウィリアム・ペン・パトリックは「リーダーシップ・ダイナミックス・インスティテュート」を設立した。この2社は、かかわりながらビジネスパーソン向けの自己啓発セミナービジネスを拡大していく。そして、後者「リーダーシップ・ダイナミックス・インスティテュート」のウィリアム・ペン・パトリックこそ、ホリディマジックの創始者だった。
こうやって、ビジネスの世界と、自己啓発とが、いちゃつくことになる。
ホリディマジック商法
ところで、ホリディマジックのビジネスを説明しておこう。その前に、化粧品についても解説せねばならない。化粧品は製造原価がきわめて低く、販売金額の10%、ものによっては5%程度のものもある。しかし、化粧品メーカーが儲けているかというと、各社の決算書をご覧になるとおわかりのとおり、むしろ薄利に甘んじている。理由は、マーケティング、宣伝広告費用がかかるのと、販売員を莫大に抱えなければならないのと、流通段階でさまざまなマージンが加算されるからだ。
ここに目をつけたのがホリディマジックだった。つまり、販売員になる権利を販売し、誰もがセールスパーソンになれるようにした。そして直接販売によって、割引販売を進めた。そして販売員にインセンティブ制度をつくり、紹介販売によって金銭を享受できるようにした。
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