「長期投資」とは、いったい何年のことなのか 誤解だらけの投資知識では死ぬまで勝てない
「長期投資について誤解している人は、たとえ大きな損をしていたとしても、時間がすべてを修復してくれると思っている。でも、それは単なる思考停止だ。たとえばブラジルに投資するファンドを保有し続けたとして、いったいいつになったら報われる日が来るだろうか」。
BRICsブームに沸いた2004年あたりから、ブラジルの株式市場や債券市場に投資するファンドが相次いで新規設定されたが、これらの中には、基準価額が設定時の1万円に対し、なんと2000円台まで下落しているものもある。
ブラジルレアルも大きく下落するなか、2008年から人気を集めた通貨選択型ファンドのブラジルレアルコースの基準価額などは、今や目を覆うばかりだ。ちなみに、ブラジルレアルの対円レートは、通貨選択型ファンドのブラジルレアルコースが人気になり始めた2008年当時は1レアル=70円台を付けていたが、今年に入ってからは1レアル=30円を割る場面も見られた。いうまでもなく、ブラジル経済に対する不信感が、マーケットで強まったからだ。
「金融機関は、損をしている顧客に対し、『投資信託は長期投資だから、このまま保有し続ければ大丈夫』などと言い逃れをしようとする。これこそ長期投資の悪用と言わざるを得ない」。
では成功する長期投資とは何か。長期投資には、絶対に外すことのできない鉄則がある。それは、成長するものに投資することだ。
「長期投資の本質は、長い目で見て成長していく蓋然性の高いものにお金を乗せて、育てていくことだ。そのためには、世の中を豊かにしてくれるものに投資しなければならない。確かに、新興国投資は長期的に見て高い成長が期待できるものの、その前にデフォルトしたら元も子もない」。
ブラジルがデフォルトし、経済やマーケットが混乱状態に陥る確率はゼロではない。急落したところから上昇に転じ、かつての高値を抜くまでには、それこそ10年単位の時間を要するかも知れない。長期投資は大事だが、金融機関の窓口担当者が言う長期投資の言葉に乗せられたまま、成長の見込みがないものを保有し続けると、今以上のやけどを負う恐れがある。
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