近年は車種バリエーションの拡充を進めている。今年3月2日、ジュネーブモーターショーで新型車「レヴァンテ」が発表された。ギブリをベースにしたSUV(スポーツ多目的車)だ。コンセプトや価格などは、まさに同じくSUVのポルシェ「カイエン」をターゲットとしている。
もともとマセラティはフェラーリやランボルギーニと違って、4ドアセダンがブランドを代表するモデルのひとつだったため、SUVとの親和性は比較的高かったが、これまではSUVに必要なAWD(全輪駆動=4輪駆動)や背の高いボディなどを製造するリソースがなかったことから、コンセプトモデルにとどまってきた。
SUVがどう作用するかは投入にあたり議論された
さらにはマセラティというブランドにとってSUVという存在がどのように作用するか、という点もレヴァンテの投入にあたっては議論されたという。
ただ、カイエンのヒットでマーケットのイメージも変わり、ここが商機と判断したようだ。このレヴァンテのためにFCA(フィアット・クライスラー・オートモビル)の本拠であるトリノ・ミラフィオーリ工場をリノベーションし、大量生産を可能とする製造ラインが新設された。ギブリをベースにするといってもシャーシやサスペンションなども少なからぬ部分が新設計され、インテリアなども主要パーツは専用のものだ。
レヴァンテは、車高を自由にコントロールできるエアサスペンションや、背の高いボディでありながらも良好な空力特性を持つ形状や、空力デバイスの設定など、よく観察するとかなり本気で作られていることがわかる。
もちろんマセラティ伝統の「いい音」が生かされた排気音も健在である。フロント部には発売が予定されているクーペモデル「アルフィエーリ・コンセプト」で見られたスポーティなモチーフが効果的に用いられている。ジュネーブでもなかなか評価は高かったし、先行公開された画像を見て少し懐疑的であった私もこれはなかなか良いと感じた。
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