始まった優先株転換 三菱自動車再建の行方
12年3月末時点で三菱重工の普通株保有割合は15・17%(連結子会社保有分を含むと15・7%)。優先株の転換で分母となる普通株数が増加すれば、三菱重工の保有割合が下がり、持ち分法適用から外れる可能性が出てくる。現時点でそれは三菱重工にとってありえない選択だろう。
転換について三菱重工は「ノーコメント」とするが、「今後も三菱自を従来どおり支えていく。従来という中には15%を維持することも含まれる」と明言する。
御三家は合計で33・4%超の出資比率を維持してきた。それを保つために商事と銀行も転換する可能性がある。
御三家と信託以外のグループ企業にとって転換で取得した普通株は可及的速やかに売却し、優先株で投じていた資金を回収するのが狙いだ。よって、残りの第2回も転換、売却となる可能性が高い。一方、御三家は転換した普通株を保有し続けるはずだ。シェア維持のための一部転換を除いた残りの第1回とG種は、転換される可能性は当分低い。
なぜならば、優先株の大半を持つ銀行が転換すると、普通株は36億株も増加する。普通株を持ち続ければ、5%の出資規制に抵触してしまう。といって売却すれば、株価の大きな下げ圧力になりかねない。
それを回避するにはどこかへ普通株をはめ込む必要があるが、現在の日中関係を考えると、中国企業への抵抗は強く、当面めぼしい提携先は見当たらない。残された手段は三菱重工か三菱商事による子会社化しかないが、今更その可能性は低い。とすると、大半の優先株はそのまま残ることになる。