マイナス金利で手数料!年金は減るのか 信託銀行が年金基金から手数料徴収

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年金基金が費用負担にここまで抵抗するのは、直近の運用悪化も見逃せない。日銀のマイナス金利政策導入後、年金運用の主役である国債の利回りは急低下した。10年債は0.2%程度からマイナスに沈み、30年債も1.2%前後から0.5%割れまで低下した。

運用成績悪化で将来は年金受け取り額見直しも

国債利回りが低下すると国債価格は上昇するので、年金基金の3月末の国債の評価損益は改善したとみられる。だが、新規に投資する国債の利回りが急低下しているため、今後の利息収入は減る。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラテジストは、現在0.3%程度の20年債利回りが2018年度中にかけて0.15%程度、現在0.4%程度の30年債利回りが0.25%台まで低下することもあると予測する。超低水準の利回りが続けば年金基金の運用を確実にむしばむことになる。

さらに、株価(TOPIX)は年初から1割超下落し、為替も年初に比べて1割近く円高ドル安が進んだ。国内株式、外国株式の3月末の評価損益は、15年末よりも悪化した可能性が高い。

このように運用成績が低下し、決算直前で頭を悩ませている3月下旬、信託銀行から費用負担の通知が届いた。それは年金基金のいらだちを一層強めることとなった。

この通知は4月18日から年金基金が費用を負担するよう伝えている。年金基金の費用増や運用成績の悪化で、年金受給額がすぐに減るわけではない。だが、費用負担がさらに増え長期化すれば、受給額見直しにつながりかねない。個人も目が離せない。

「週刊東洋経済」2016年4月23日号<18日発売>「核心リポート03」を転載)

 

福田 淳 東洋経済 記者

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ふくだ じゅん / Jun Fukuda

『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などを経て編集局記者。

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