マイナス金利で手数料!年金は減るのか 信託銀行が年金基金から手数料徴収
負担額は信託銀行によって異なる。余資の残高に一定の比率を掛けたものという考え方は同じだが、比率が各行で違う。ある大手信託は0.06%。日銀でマイナス金利が適用となる当座預金の2月16日~3月15日の平均残高を基に算出した。この数値は毎月見直すという。0.04%としている信託銀行もある。
実際にどの程度の額を負担するのか。ある大手信託銀行の試算では、年金信託のうち余資になっているのは4%前後。運用資産100億円の年金基金なら4億円程度で、それに0.06%を掛けると24万円。つまり、資産100億円の中堅年金基金の年間負担額は、24万円程度。運用利回りで言えば、0.0024%低下させるようなものだ。
「負担はやむをえない」とする声も
年金信託はあくまでも実績配当型の金融商品。運用利回りが上昇すればその成果を年金基金が受け取れる一方、利回りが低下したら基金の取り分は減少する。今回のマイナス金利政策の影響も運用実績の低下であり、その額も株価下落による影響に比べれば小さい。「年金基金に説明すればご理解いただけると思っていたし、実際、8~9割の顧客には理解してもらっている」(大手信託銀行)。
確かに年金基金の中からは「仕方がないのではないか」という声も聞こえてくる。日銀がマイナス金利政策を取るという経済情勢の変化があり、それが運用成績に反映されるのはやむをえない、と。
しかし冒頭の年金基金運用担当者は、「金額の多寡ではない。われわれが運用しているのは、年金受給者のためのもの。損をするとわかっている運用手法におカネを入れると、受託者責任を果たしていない、と年金受給者から言われかねない」と憤る。
さらに、「日銀がマイナス金利政策導入を発表してから2カ月。その間に信託銀行は短期資産を日銀当座預金に置かなくても済むようなスキームを作れなかったのか」「0.0024%の運用利回り低下を補えるように、信託銀行内の事務などを効率化することはできないのか」といった指摘も、年金基金の運用担当者からは挙がっている。
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