48年ぶり日本開催--IMF・世銀東京総会の見どころ



 総会に先立って発表されたIMF世界経済見通しの分析編では、この100年間の、先進国の財政赤字への対応を分析、政府債務削減は「マラソンになる」と強調し、緩和的な金融政策と構造改革で成長を支える政策の組み合わせがカギだと指摘している。

途上国の問題に目を転じれば、IMFは9月28日に保有金の値上がり益のうち、27億ドルを低所得国向けの融資制度の補充に充てることを決定している。一方、世界銀行については、7月に就任したジム・ヨン・キム新総裁がグループをどのような方向で運営していくのか、今回の総会がその所信表明の場にもなる。

科学的な分析手法と貧困撲滅の仕事をどう密接に関連させていくのか。貧困人口の多くが住み格差が広がる中所得国に新たなアプローチを打ち出すのか。キム新総裁の発言にも耳目が集まる。

また、今回の総会では、昨年の東日本大震災を受けて、9日と10日に「防災と開発に関する仙台会合」も開催される。世界銀行はこれに合わせて、途上国の災害のリスクマネジメントにフォーカスした「仙台レポート」を発表する予定になっている。

ひとつ注目したいのが、世界銀行が10月1日に発表した世界開発報告2013「雇用」だ。このレポートの特徴は、雇用を単に労働市場の問題としてとらえるのではなく、途上国の人々の生活レベルの向上、生産性の向上、社会の安定という面から多角的にとらえている点にある。プラスの波及効果がある仕事、すなわち貧困削減に貢献し、女性の収入を増加させ、若者の就業につながる仕事を増加させるために開発途上国はどのような政策をとるべきか、問題提起している点が新味である。開発関係の大臣会合では、仙台レポートや世界銀行のジェンダー(男女差)への取り組みのレビューを含め、このレポートが議論の中心になる。

大臣会合以外では、事務局と日本政府が共催するプログラム・オブ・セミナー(10~14日に開催)に注目したい。世界中のハイレベルの論客が一堂に会し、世界経済が現在直面するさまざまなリスクへの対応から始まって、鉱物資源産出途上国の収益管理、女性と開発・ビジネス、保健医療財政のあり方、アフリカのエネルギー、アジアの世界経済における役割、若者の雇用創出など18の論点を討議する予定である。これらはウェブを通じて、誰でも見られることになっており、大学院生や実務家にとり、格好の教材にもなりうる質の高いものであるということを強調しておきたい。

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