48年ぶり日本開催--IMF・世銀東京総会の見どころ
■参加者1万人超、IMF・世銀で日本の存在感を高める契機に
日本はタイムラグがあったものの、世界銀行では84年に、IMFでは90年に、第2位の株主となり、その地位は現在も変わっていない。両機関の資金量は国際資本市場の規模に比べて大きくないが、上質な分析に裏打ちされた政策アドバイス、資金のシグナル機能は世界経済の舵取りに引き続き極めて重要である。だからこそ、日本政府は他国に先駆けて、09年にはIMFに1000億ドルの貸し付け、今年4月には600億ドルの追加拠出をコミットしてきた。世界銀行に対しても、低所得国支援の中核であるIDA(国際開発協会)へ累計400億ドル、世界第2位の規模の拠出をしてきた。
今後のクォータ、投票権の計算式の検討には、両機関の使命への「貢献」を重視する論点をもっと広げていく必要がある。また、アジアだけに止まらず、グローバルな課題に対して時宜を得たアイデアを発信すること、アイデアを多数派の意見に持っていくためのマルチのアプローチを強化することも重要だろう。さらに、IMFや世界銀行といった機関の幹部になれるグローバル人材養成を真剣に心掛けることで、相対的な存在感低下を防ぐことができる。1万人を超える世界各国からの参加者を迎える東京開催を機に、国民各層でIMFや世界銀行により関与していく決意を新たにされることを強く期待したい。
こでら・きよし
1952年生まれ。74年東京大学法学部卒、大蔵省(現財務省)入省、04年国際局次長。その間、アフリカ開発基金理事、在米大使館一等書記官、世銀理事代理、世銀・カザフスタン、キルギス、トルクメニスタン担当局長、同中央アジア担当局長などを歴任。06年世銀IMF合同開発委員会事務局長・世銀副官房長、10年より現職。
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