48年ぶり日本開催--IMF・世銀東京総会の見どころ
(現・国際協力機構〈JICA〉理事)
(上写真は7月来日時のラガルドIMF専務理事 撮影:梅谷秀司)
10月9日から48年ぶりにIMF(国際通貨基金)・世界銀行の総会が東京で開催される。今年は、日本がIMFと世界銀行に加盟してから60周年を迎える年でもある。先進国の財務大臣・中央銀行総裁のみならず、途上国の経済政策当事者や、世界中の金融業界トップ、開発関係のNGOが大挙して東京に集まり、今、世界経済が直面しているさまざまなテーマを議論する。
国際通貨金融委員会(IMFC)、 開発委員会、セミナー、バイ(二国間)の会談に加え、100カ国を超える途上国の代表団にとっては世界銀行副総裁やIMF局長クラスと借り入れ計画を交渉することが総会期間中の大きな目的になる。2年前まで世銀IMF合同開発委員会事務局長として数々の総会や大臣会合のお膳立てをしてきた立場から、この総会の見どころを紹介し、さらに両機関における新興国・途上国の台頭の中での日本の発言力について考えてみたい。
■ユーロ圏の金融・財政政策に注目が集まるが、途上国の雇用問題など活発な議論も
今回の総会では、まず、9日に発表されるIMFの世界経済見通し(World Economic Outlook)をベースに、欧州経済危機、米国のいわゆる「財政の崖」、中国・インド・ブラジルをはじめとする新興国経済の減速など、さまざまなリスクや影響に、各国がどのように対処すべきかが議論の中心になると思われる。
特にIMFは、この数年間、ユーロ圏またその周辺国の財政金融政策、金融セクターの分析や、他地域への危機の波及などの分析をしている。そのうえで、政策アドバイスに加え、アイルランド、ポルトガル、ギリシャに対して巨額の金融支援プログラムを組んだ。同時にEU圏外の国に対しても少額の支援を行ってきている。9月にはユーロ圏、米国、日本の中央銀行は相次いで新たな金融緩和策を打ち出し、株式市場はこれを好感しているが、ギリシャ、スペインの来年度緊縮財政策をめぐり市場が再び神経質になる中、8日のEU財務相会議でどのような結論が出せるのかが注目される。