アマゾン、渾身の新キンドルは「超強気」だ 従来より20%軽く、30%も薄くなった

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日本法人であるアマゾン ジャパンの提案も採用された。日本の場合、電子書籍においてもコミックの人気は高い。コミックは小説など、普通の本よりも情報が多いため、ページの描画を速くしたり、本の終わりに近づくと、次の本をスムーズに読める機能などを盛り込んだ。

カバーは黒、赤、茶の3色で展開している

実際に製品を手にしてみると、やはり軽い。129グラムのiPhone6とほぼ同じ重さ(6sよりは12グラム軽い)だが、薄さや重心を工夫したためだろうか、さらに軽く感じる。

これなら長時間、片手で読書をしても苦にならなさそうだ。女性も重さを気にせず使えるだろう。従来の機種も十分に軽かったのだが、比べてみると、はっきりと差を認識できるほどだった。

アマゾン ジャパン・Kindle事業本部長の玉木一郎氏は「事業を始めた8年前からキンドルが目標としてきたのは、ユーザーが端末の存在を忘れて作品の世界に没頭すること。そうした意味で到達点にきた」と語った。

製品だけでなく、コンテンツの拡充も進んでいる。アマゾンが日本でキンドルを発売したのは2012年10月。当時の日本版「キンドルストア」のラインナップは約5万冊だったが、直近では43万冊まで広がった。玉木氏は「出版社が力を入れてきたことで、市場として黎明期を脱したのではないか。さらにラインナップを満たしていきたい」と期待を込める。

専用端末は「ニッチ」な存在だが…

しかし現在、電子書籍専用端末の存在感は薄れつつあるのが実情だ。背景にはスマホやタブレット端末の普及がある。やや古いデータだが、ICT総研の調査によれば、電子書籍を閲覧できる端末の出荷台数は2013年に780万台。うち専用端末は1割に満たない68万台だった。

電子書籍自体の利用は順調に拡大しているものの、専用端末はすでにニッチな存在なのだ。楽天の電子書籍端末「kobo」(コボ)にしても、日本市場における存在感は大きいとは言い難い。

ジェフ・ベゾスCEOはどんな次の一手を考えているのだろうか(撮影:今井康一)

そんな中、3万5980円の価格を打ち出したアマゾンは、かなり強気と言えるだろう。この価格帯ならば、ASUSやファーウェイなどのタブレット端末を購入する選択肢もあるからだ。

とはいえ、アマゾンもこうした課題は認識しているはず。2015年は有料会員制サービス「アマゾン・プライム」向けに、音楽聴き放題の「プライム・ミュージック」、動画見放題の「プライム・ビデオ」を投入。最短1時間以内に商品を受け取れる超高速配送サービス「プライム・ナウ」も始めている。精力的にサービスを広げる中、キンドルユーザー向けに何らかのサービスを準備している可能性もあるだろう。

キンドル オアシスは電子書籍が好きなユーザーを開拓し、同時に高いレベルで満足させることができるのか。ニッチ市場にかける、アマゾンの意気込みが試されることになる。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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