甘い訴訟対策は命取り、サトウは第2次訴訟で再逆転狙う

「切り餅訴訟」が残した教訓

 

素人の誤解を放置するリスク

だが、何もアクションを起こさなければ、そういったプロの感覚を共有しない素人の意識の中には、「他社のマネをしたうえに証拠捏造までやった会社」、というイメージが刷り込まれたままになる。

一般に大手の量販店は、訴訟対象になった製品を、訴訟対象になった時点で店頭から外すが、サトウの切り餅が店頭から姿を消さなかったのは、切り餅業界が事実上大手4社の寡占状態になっているからだ。サトウの切り餅を店頭から外せば、不足分を他の3社の増産では補いきれないので、量販店側が欠品リスクを負うことになる。

サトウの業績動向を見るかぎり、訴訟が販売面に影響を与えた形跡はない。世間の関心が高いことから考えると、敗訴が販売に影響を及ぼさなかったことは、サトウにとっては不幸中の幸いといえる。

だが、参入業者数が多く、いくらでも代替が効く製品だったら、立証の失敗が販売面に取り返しのつかないほどのダメージを与える可能性は十分ある。また、こうしたことを口実に特殊株主にでも攻め込まれれば、その対応に煩わされること自体が不利益だ。

ネットで事実無根の誹謗中傷被害に遭った場合、放置してはいけないのと同様に、危機管理の視点で言えば、汚名をそそぐためのアクションが必要と考えるのは当然だろう。

サトウは小粒な優良上場会社にとって「他山の石」

知財高裁での担当裁判官は、徹底した迅速な訴訟指揮で知られ、今春、知財高裁所長に就任した飯村敏明裁判官である。

飯村判事のクセをよく知る知財系弁護士や弁理士は、「飯村判事の不意打ちはいつものこと」「飯村コートに事件が回った時点で、一審の主張に穴がないかどうか、できることは全部やり尽くしているかどうかをチェックし直して1回目の弁論に臨むのが基本」だと口をそろえる。つまりは雇った弁護士が飯村判事のクセを知らなければその時点で「負け」というのが知財ムラの常識なのだという。

 

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