アルビレックス新潟の奇跡:池田弘が語る人と組織の育て方(第3回)--日本人にはベンチャーのDNAがある
さらに、ローソンさんはフランチャイジーの一店舗から始まって多店舗化することに了承しました。普通は大手企業や電鉄会社と組んで多店舗化するケースが多く、内部で一店舗からの多店舗化というのはなかったわけですが、そのための制度をつくったのです。日本国内だけでなく、海外でも合弁会社をつくったり独自に進出していくことも了承しました。その成功例を見て、セブンイレブンさんも同じような取り組みを発表しましたが、佐藤社長はその突破口になったわけです。
--ほかには、どんな会社があるのでしょうか?
おもしろい例では、東京におにぎり屋「銀座十石」を展開しながら、新潟の古い商店街で糀ドリンクを販売する「古町糀製造所」も構えた和僑商店という会社があります。
ほかにも、ゲームソフトを製作しているIT会社や、ホームページ製作でかなりの収益を上げている会社もあります。インターネットで新潟のお酒を販売したり、同じくネットでお米を売っている会社など、さまざまな企業がありますよ。これらは、ある程度NSGグループで出資している会社で、基本的には公開させない方針です。
--新しいビジネスをサポートするときには、お金のことより、やはりその人の意欲などを重視するのですか?
はもちろんですが、私はお金の面についても厳しく言いますよ。たとえば、収支計画などはとにかく自分で考え抜いてつくってもらいます。当然、1年目や2年目はうまくいかなくてもしょうがない部分もありますが、95%以上の精度の、高いレベルの事業計画を要求します。貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の財務3表に関しても、かなり精密なものをつくらせますからね。
それに、それらを読む力も同時に身につけさせます。それらのことができなくては、経営なんてとてもできません。それが無理なら帰ってもらうというわけです。しかし、やる気がある人間は、黙っていても作り直してまたチャレンジして来ますよ。