アルビレックス新潟の奇跡:池田弘が語る人と組織の育て方(第3回)--日本人にはベンチャーのDNAがある
--そういうチャレンジ精神を持ったときの若者のパワーや可能性を、どのようにとらえていらっしゃいますか?
「こんなことで自分の人生が終わってたまるか」というぐらいの気持ちがないとダメですね。最近は若者が保守化していて、そういう思いを持つ人が少なくなってきたとも言われますが、底流にはちゃんといると思います。
やはり、人は誰もが「幸せになりたい」「いい人生を送りたい」という願望がある。しかし日本は戦後、それなりの経済大国になったことで安定志向になり、世の中があまりにも「安全に生きることが一番」「勉強をがんばれば幸せになれる」と言いすぎました。しかし今になって、勉強をがんばっても幸せになれないかもしれないというふうに、雲行きが怪しくなってきた。だから、今の社会は不安に満ちているのだと思います。
就職活動でも、大企業にばかりエントリーして、面接さえしてもらえずに落ちていく人たちがたくさんいますが、それは必ずしも本人が悪いわけではなくて、育てられ方がすでに安定志向になっているからですよ。
本当は、チャレンジすることや自分で自分の人生を切り開くということはとても素敵なことなのですが、それらが良しとされる社会にはなっていないんです。それよりは官庁や大企業に入ることが幸せだと思っていたわけですが、上の世代を見ると、どうもそうではなくなってきた。「なんかおかしいな」という感じだと思いますが、そんなことを考えているぐらいだったら「チャレンジしろよ」と言いたいですね。