「大切な人の死」に直面したら、するべきこと 知っておきたいグリーフ(悲嘆)ケアの具体例
こうした反応は、破壊的なグリーフを直接的に感じないよう、身体感覚のトーンを落とす作用が自動的に働くため、とも言われる。
その後、徐々に喪失が現実味を帯びてきて、コントロール出来ないほどの強い感情に襲われる。人目をはばかることなく泣き叫んだり、故人に対し、怒りや恨みの気持ちが沸き上がったりと、嵐の大海原に浮かぶ小舟のように感情が乱高下する。見捨てられ感が強まり、ひどく落ち込み無気力になることもある。
計り知れないほど深いグリーフの場合、もはや自分の生きる意味を見出せず、故人の後を追いたい、とか、こんな自分は邪魔な存在だ、消すべきだとの考えに襲われる。
予期せぬグリーフの場合は不安や恐怖にさいなまれることもある。たとえば片親を事故で亡くした子供は、もう一人の親もいつか突然死んでしまうのではないか、との思いに駆られる。また死産を経験した母親は、次の子ももしや……との思いが頭から離れない。
家族との死別の場合、遺された家族間のバランスに影響を及ぼすことも多い。子供の死が両親の離婚の原因になるケースや、それまで家族の中の要であった父親の死により、母子関係に亀裂が生じ、家族がバラバラになってしまったケースなどがそれである。
そして多くの人が経験するのが「自責の感情」だ。あの人が死んだのは私のせいだ、私が〇〇していれば、あの子は死んでいなかった、私にはもっと何かできたはずだった、と自分自身を責める気持ちが長く続く。
自らのグリーフに対処する方法
こうした感情の荒波も、時間の経過と共に徐々に収まりを見せる。悲しみや自責の感情、孤独感が消えることはないが、それまでモノトーンでしか見えなかった周囲の景色に少しずつ色味が戻る感覚が蘇る。故人の存在そのものは目に映らなくなっても、遺した言葉や雰囲気、面影や共有した思い出などは、むしろ鮮やかに心に刻まれ続ける。波が引いたり押し寄せたりする中で、私たちは少しずつ現実を、グリーフを受け入れられるようになる。
普段の冷静な自分とはあまりに違う、感情の波に振り回され戸惑う日々が続くが、どれだけ激しい感情が押し寄せたとしても、これは自然なこと。では想像を超える苦しさに対し、具体的にどう対処すればいいのだろう。
大切な人の死を経験しない人はいない。だからお互い様。辛い時は誰かに支えてもらうこと。今は安心して気持ちを分かち合えるグリーフの会が全国にあり、匿名でも参加できる。話さず、他の人の話を聞くだけでも大丈夫。
苦しい分だけ、故人の存在があなたにとってかけがえのないものであったということ。自分が冷たい人間だと思う必要もない。死を認めたくない気持ちを否定しなくてもいい。
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