業績不振、経営再建と切っても切り離せないのがリストラ。この冬から春にかけて大きな話題になったのは不正会計問題で窮地に陥った東芝の大リストラだった。一連の構造改革で1万人を超える社員が東芝を去ることになった。
勢いのある企業は従業員を増やすが、もちろんそんな順調な企業ばかりではない。経営が芳しくなかったり、グループ再編の一環で不振事業や本業との関連の薄い部門の整理を進めたりすれば従業員は減少する。
東洋経済オンラインは、過去5年で正社員を大きく減らした上場企業を独自に調査。上位500社をランキングした。雇用期間の定めがなく解雇にも厳しい制限などがある「正社員」は、有価証券報告書で原則は従業員数として記載されている。直近本決算(2014年12月~2015年11月期)と5年前で比較して、その減少数を調べた。昨年も同種のランキングを掲載したが最新版となる。
2009年12月期~2010年11月期は、東日本大震災のちょうど直前の期になる。この時期の数字と比べることで震災前水準に比べ、どの程度の正社員数を減少させたか確かめることができる。有価証券報告書に「臨時従業員」として規定されている非正社員数と、それらから割り出した非正社員比率なども併載した。有報の臨時従業員数は、その数が全従業員数の1割以上を占める場合、年間の平均人員を開示することが原則として義務付けられている。
東芝は13位だが来年以降はさらに上位へ
正社員を大きく減らした会社は、この5年の間に、経営再建を行った会社が多い。中でもランキングの上位5社は電機業界が占めるなど、苦境が鮮明にあらわれた。正社員が増加傾向にある自動車業界と比べると、明暗が分かれた。ランキングでは2015年3月期の数字を元にランキングを作成している。東芝は今回のランキングでは13位となっているが、来年以降はもう少し上位に顔を出すだろう。
ランキングの1位はパナソニック。2010年3月期に38万4586人だった連結従業員数は、13万人あまり減少して、2015年3月期は25万4084人となった。この5年は、毎年1万人以上の規模で正社員が減っている。
ただし単体の従業員数に注目すると、連結ベースとは対照的に増加している。2010年3月期に4万2356人だった単体の従業員数は、2015年3月期には5万1308人へ1万人弱増加した。これは2012年1月にパナソニック電工を合併したことが大きい。連結ベースで事業の見直しを行い、子会社の整理を行う一方で、有力な事業は本体に吸収しているという実態が読み取れる。
2位はNEC。2010年3月期に14万2358人だった連結従業員数は、2015年3月期に9万8882人へ減少した。正社員数が減った要因では、2010年4月に連結子会社だったNECエレクトロニクスがルネサステクノロジと合併し、ルネサスエレクトロニクスとなったのにともない連結対象から外れたのが、特に大きかった。
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