日本の不動産市場は安定している 米大手ファンドCEOに聞く

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--日本は低成長で、人口も減少し、マクロ経済環境だけをとると、魅力のない市場だ。そんな日本に対する不動産投資は長い目で見て魅力的なのか。

東京は依然として人口増加が続いていくと思う。確かに少子高齢化の問題はあるが、われわれはバリューの上がるマーケットに投資を行っている。外国人の視点からいうと、東京はワシントンやニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスが1つに集約されたような都市。政府機能や金融機能、企業の集積やエンターテインメントが1つになっている。市場環境やポートフォリオの観点から見ても、非常に効果的、前向きな場所だと思う。

--昨年の東日本大震災で外国人投資家の目線は変わったのではないか。

たしかに地震リスクは懸念されているが、地震は日本だけにあるわけでもない。確かに去年の大震災は大きなものだったが、暴動や政情不安が起こらず、地震に対する日本人の対応をみて、かえって投資家は日本の安定を実感したと思う。

--日本は、企業が多くの不動産資産を保有し、優良資産がなかなか市場に出てこない構造がある。

いま2つのトレンドが起きている。1つは、そうした企業が核となるビジネスに特化しようとして、不動産のようなノンコアビジネスをスピンオフしている。こうしたトレンドはまだ続くと考えている。

もう1つが、不動産市場の証券化だ。日本のJリート市場が立ち上がり、初期は非常に良かったが、このところ低迷している。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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