「パナマ文書」で窮地に追い込まれるのは誰だ アイスランドの首相は早々に辞任
英国で経済的不平等が大きな政治的問題になりつつある中、しかもキャメロン政権が貧困層への福祉支給を減額しようとしているこのタイミングで、首相の恵まれた子ども時代と個人的な富の存在が示されたことは、市民の怒りに油を注いでいる。
租税回避地を厳しく取り締まる世界的な取り組みで主導権を主張していたキャメロン首相にとってさらに恥ずかしいのは、流出した文書では英国の自治領、特にバージン諸島が、モサック・フォンセカが扱った企業にとって「お気に入りの場所」であると証明されたことだ。
キャメロン一族とパナマの関係
英国では4日以降、流出文書に関する政治的温度が上昇し続けている。この日、キャメロン首相の親族が現在もオフショアで金銭を保有しているかと質問された首相の公式報道官は「個人的な問題」だと説明した。キャメロン首相は5日になって、この件をようやく否定した。
得られた利息を当局に申告する場合には、金銭をオフショアで保有することは違法ではない。首相は納税申告書の公開要求について「非常に楽観している」と発言したにもかかわらず、今だに公開していない。
キャメロン首相の親族とパナマとの関連を指摘する報道が最初に出たのは、2012年だった。イアン・キャメロン氏が1982年にパナマに設立されたファンドの重役を務めていたことが明らかになったのだ。このファンドはスコットランドにあるキャメロン一族の邸宅にちなんで、ブレアモア・ホー ルディングスと名付けられていた。
今回流出した文書では、所有者の氏名を特定しない無記名株式を使って、ブレアモア・ホールディングスへ投資していた者の名を隠していたことが明らかになった。
キャメロン首相は「株は保有していないし、オフショア信託やオフショア・ファンドといったものは一切持っていない」と主張。その後、首相だけでなく、その夫人やいずれの子供たちも「いかなるオフショア・ファンド」の恩恵も受けていない、と発言した。
(執筆:Steven Erlanger記者、Stephen Castle記者、Rick Gladstone記者)
© 2016 New York Times News Service
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