「パナマ文書」で窮地に追い込まれるのは誰だ アイスランドの首相は早々に辞任
米国のオバマ大統領は、流出文書について直接コメントはしていないものの、税金逃れは「非常に大きな問題」であり、対象額は数兆ドルに上るだろう、との認識を示した。
同大統領は「この多くが合法で、違法ではない」としながらも、「米国やほかの国々が、これらの抜け穴をふさいで模範を示して指導しない限り、多くの場合は何が起こっているのか突き止められても、それを阻止することはできない」と述べた。
世界の富の8%が租税回避地にある
「The Hidden Wealth of Nations(失われた国家の富)」の著者であるカリフォルニア大学バークレー校のガブリエル・ズックマン教授は、ナショナル・パブリック・ラジオ (NPR)の取材に応じ、今回明らかになったのは、世間の厳しい目を逃れた富のほんの一部に過ぎないと語った。
「租税回避地ごとに法律事務所があることを考えると、この程度は序の口だとわかるだろう」とズックマン教授は話す。同教授によれば、世界の富の8%が租税回避地にある計算になる。「すなわち、7.6兆円に上る巨額の富が租税回避地にあるということだ」
一方、アイスランドのグンロイグソン首相の辞任が、いまだに8年前の世界的金融危機から回復途上の、人口32万3000人の小さな島国にどう影響を及ぼすかは不明だ。
グンロイグソン氏は、自身と裕福なパートナーが、モサック・フォンセカを通じて2007年に英領バージン諸島に会社を設立した事実が発覚した後も、政権を維持すると主張していた。
パナマ文書は、彼が保有する会社の半分を、2009年12月31日にパートナーに1ドルで売却したことを示していた。これは、新法の施行により、国会議員であるグンロイグソン氏が利益相反に当たるとして所有権を申告しなければならなくなる前日のことだった。