「パナマ文書」で窮地に追い込まれるのは誰だ アイスランドの首相は早々に辞任
流出文書は、パナマの法律事務所モサック・フォンセカの21万5000近い法人と1万4153人の顧客の情報を網羅している。25カ国語にわたり世界の100の報道機関で共有されたこの文書には政治家、著名人、スポーツ選手、そしてロシアのプーチン大統領や中国の政治局員といった世界で最も影響力のある人々や、その親族、友人が含まれている。
文書によって特定された人物に、習近平国家主席の義兄が含まれていた中国では、特定された人物は事実無根の攻撃を受けたと政府が激しく非難。中国の検閲当局はパナマ文書に関する記事をネットで検索できないようにした。
カーテンで隠されていた事実
一方、ロシアでは、文書はプーチン大統領に対する根も葉もない攻撃だとして、当局が内容を否定。検事総長事務所は5日、オフショア会社の恩恵を受けていると報告されたロシアの要人に関する調査を行うと発表した。
パナマ文書の波紋は、西アフリカのダイアモンド王から韓国の元大統領、南米の有名サッカー選手に至るまで、大陸を越えて拡大した。反汚職で有名な権利擁護団体、トランスペアレンシー・インターナショナルのチリ支部長でさえ、バハマのオフショア会社の代理人だと流出文書によって指摘されたのを受け、辞任に追い込まれた。
パナマ文書には、これまでのところ米国の要人は含まれていないし、名指しされた人物が犯罪に関与しているとの証拠が示されているわけでもない。しかし、発覚した事実について、世界中で怒りや非難が巻き起こっている。
「汚職は民であれ官であれ、隠すことによってのみ可能になる」と、ニューヨークに拠点を置く国際的法律事務所ドーシー・アンド・ホイットニーの共同経営者で、元連邦検事のジョン・マルティ氏は話す。その上で今回の発覚は「カーテンで隠されていた秘密の存在を公開するようなものだ」と語る。