異性の「親子混浴」は何歳までOKなのか

子離れの第一歩?

こんな話もある。少し体格のいい5歳の息子を連れて銭湯に行った母親。いつものように女湯に連れて入ると、まわりから白い目で見られたという。

「体格がいいので小学生だと思われたのかも。実際、温泉や銭湯っていったい何歳まで女湯に入れていいのか」

公衆浴場については、各都道府県が定める「公衆浴場法施行条例」で、何歳まで異性の浴場に入ることができるかが決められている。東京都の条例では「10歳以上の男女を混浴させないこと」となっている。神奈川県など温泉観光地を持つ地域では、「知事が利用形態から風紀上支障がないと認める場合は、この限りでない」というただし書きがある場合も多い。日帰り温泉や旅館などで「家族風呂」が許されるのはこのためのようだ。

風呂文化を持つ日本では、異性親子の入浴はある程度の年齢までは許容範囲とみなされるが、海外では事情が違う。湯を張っての入浴文化が少ない海外では、たとえ赤ちゃんでも父親が娘を入浴させることは稀なようだ。

アメリカ人の男性と結婚した日本人の女性は、娘の入浴を手伝ってと夫に頼むと怪訝な顔をされたという。シャワー文化の彼らにとって、シャワーはリラックスする場所というより、ただ体をきれいに洗う場所。無論、風呂で会話を楽しむなどということはなく、子どもがシャワーを浴びる時は服を着た状態でバスタブの外からサポートするのが一般的なのだ。同性であっても裸で一緒にシャワーに入るのは異様な光景に映るらしい。

誰に見られても抵抗なしの危険

実際、外務省のホームページには、海外で異性親子の入浴を公然と話さないように注意を呼びかけるページもある。場合によっては幼児虐待と疑われ、逮捕される可能性があるからだ。

子どもの思春期の成長という観点から見ると、異性親子での入浴は条例同様、小学校高学年頃までにするのが妥当という指摘もある。小児心理学などが専門のルーテル学院大学・田副(たぞえ)真美准教授は、高学年以降も入浴を続けると異性との適切な距離を取ることができなくなる可能性があると話す。

「女子では小学5、6年生で前思春期を迎えます。精神的にはまだ子どもですが、第二次性徴期を迎えるこの時期に、男性と女性は違うものという意識を持たせることも大切です。場合によっては、年頃になっても父親だけでなく、誰から裸を見られても恥ずかしくないという状態になってしまいます」

コミュニケーションに関しても、風呂でのコミュニケーションは卒業すべきとの見解を示す。「お風呂だとよく話す」というのは親に原因がある場合もあるというのだ。

「親が仕事や家事などに追われる姿を見せていると、子どもも気を使って話せない。風呂だけが唯一、親がリラックスしている場所だとしたら、子どもはそれを敏感にキャッチし、『今ならゆっくり話を聞いてもらえる』と感じ取る。風呂コミュニケーションではなく、普段から親のほうが時間をつくり『今なら話が聞けるよ』という雰囲気をつくることが大切です」

親としては、わが子との風呂卒業は寂しい気もするが、これも子離れの一歩。一人風呂へと導くのも親の役割のようだ。

(文:宮本さおり)

※AERA 2016年4月11日号

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