日銀短観の為替前提が示す目先の波乱要因 「気概」が感じられない日本企業が心配になる

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ここに日銀短観で、製造業が117.46円を前提に先行きを考えている、という材料が飛び込んできたわけだ。多くの市場参加者にとっては、現在のような円高水準を反映した、収益見通しの下方修正が、輸出企業中心に大いに起こるに違いない、と恐れおののいたとしても不思議はない。この地合いでは、当面「円相場次第の日本株市況」といった事態が続きうる。

4月1日(金)の3月の米雇用統計やISM製造業指数が、そこそこ堅調な結果であったため、米株価は素直に上昇して引けている。しかし米ドルは引けにかけて崩れ、112円を割り込む円高だ。この円高という日本株にとっての悪材料を、米株価上昇という好材料がかなり相殺するため、目先の日経平均は1万6000円を大きく割り込む公算は小さいと考える。

また、週末の円高も特に円高をきっちり裏付ける材料があったわけではなくて、ポジション調整等短期的な資金の動きによるものと推察されるため、来週は米国経済等の実力に沿った米ドル高・円安に転じる展開がありそうだ。とすれば、円高が日本株にとって、のどに刺さった最後の骨(悪材料)であるだけに、為替相場の反転で、重石がぽん、と外れて、日本株が短期的に上振れする展開もありうると考える。

長期的で憂慮すべきもう一つの懸念

こうした点から、4日(月)の日経平均は1万6000円の攻防(極めて短期的に1万6000円を割り込む展開も否定はできない)となろうが、急速に株価が上伸することも想定したい。今週(4日~8日)の日経平均は1万6000~17000円と広いレンジを予想する。

次に、日銀短観で示されたもう一つの懸念を説明したい。これは長期的なことだが、こちらの方が憂慮すべきことかもしれない。

筆者は、日銀短観の調査が行なわれた3月の米ドル円相場が、主に112~114円で推移していたことから、おそらく短観においては、前提となる為替レートは110~112円辺りになると見込んでいた。このため短観をみて、目を疑った。117.46円というのは、回答企業が、今後の円安を自信と根拠をもって予想したのではなく、そうなって欲しいと願っているだけに思われる。

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