9月までは円高が続き「1ドル87円」が焦点に 2018年半ばまで続くなら日経平均1万円を試す

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円高トレンドが続くとどれぐらいの水準まで進むのか。過去のデータを検証し大局的な見方を養いたい(写真FUTO/PIXTA)

日本株は膠着感が強まっている。4月1日に発表される米雇用統計などの重要指標を見極めようとする一方で、財政出動への期待も高まっている。しかし、日本株の割安感はすでになくなっているのが実態である。

日経平均採用銘柄の一株当たり利益(EPS)が急低下している。EPSは先週までは1170円程度だったが、先週末に急低下し、今週に入ってから1130円を下回る水準になった。これにより、株価収益率(PER)は世界の投資家が基準とする15倍にまで上昇し、日経平均株価の割安感はなくなった。むしろ、1万7000円以上は「割高」になりつつある。上値を買いつく投資家が出てくれば、16倍まで買われ、1万8000円に到達する可能性もある。その場合でも、上限は1万8000円であろう。

安倍政権は、ここにきてサミット前に財政出動を伴う景気対策を講じようとしている。消費増税の先送りと衆院ダブル選挙のパッケージで株価を押し上げようと考えているのだろうか。安倍首相はいまだに「リーマンショック級のことが起きない限り、消費税引き上げは予定通りに実行する」と強調しているが、それを信じる市場関係者は皆無であろう。一方、企業業績が伴わない中で、期待だけで株価だけが押し上げられても、持続性はない。むしろ、格好のカラ売りの好機となる。

米国株にも割高感が出てきた

そもそも、日本株の押し上げにもっとも必要な円安への転換が期待できない。米国サイドがドル安を志向している現在、円高基調は規定路線である。最近になって、FRB高官から近いうちの利上げの可能性が示唆されていたことで、ドル高・円安に傾く場面もあったが、イエレンFRB議長がこれを否定した。これにより、4月利上げの可能性はなくなり、再びドル安・円高に戻るだろう。

常識的に考えれば、来期の増益は想定できるはずがない。企業業績という、株価形成において最も重要な要因が悪化するのだから、株価上昇は困難である。短期筋のカラ売りもそれほど多くない。したがって、買戻しを誘発して株価が上昇することもないだろう。

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