市場に飽きられてきた「熊さん」たちの宴会芸 日本株を実体経済以下に下げるのは難しい
世界全体を見渡すと、1~2月に蔓延していた過度の悲観論が薄らぎつつあるようだ。
原油価格は持ち直し、WTI原油先物は1バレル40ドル前後の推移となっている。銅、亜鉛などの工業用原材料市況全般に、底入れの様相が強い。中国など新興諸国の経済「懸念」も薄らいだ感があり、シリア停戦に向けての米ロ協調に表れているように、地政学的リスクも若干後退している。
環境改善が進む中で取り残された日本市場
最も改善がみられるのが米国市場だ。米国の主要な株価指数は年初来の高値を更新しており、米長期金利も一時の低水準からジワリと持ち直している。イールドレシオ(=長期金利×PER)が底入れするにはちょうどよいタイミングだ、という点は、前回(3月6日)の当コラムで指摘した。実際、米経済に対する悲観論の剥落とともに、長期金利の持ち直しとPERの拡大が進みつつある。
こうした世界的な投資環境の好転は、これも前回述べたように、何かきっかけとなる「ものすごい」材料が出たわけではまったくない。実体経済が著しく改善したわけでもない。原油生産は相変わらず過剰だし、国際商品に対する需要が急回復したわけでもない。中国経済は引き続き減速しているし、地政学的リスクも手放しで楽観することは禁物だ。米国経済にしても、力強さに欠ける点は多々見出せる。
これは、実態(別にそれほど良いわけでもない)に比べ、過度に市場が売り込まれたため、そこから適正な水準への回帰が起こっているにすぎない。したがって、今度は過度の楽観に市場が振れれば警戒的に臨むべきだが、心配するのはまだ数カ月先になるだろう。
こうして、株式市場でいえば、世界の多くの主要国の株価が週末にかけて上昇して引けた。ところが日本株は週末にかけて不振であった。これは米ドル安・円高と日本株安の相互作用のためで、世界的な投資環境改善のなか、この点だけが懸念要因として残っている。
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