「浪費家の共通項」に戻りますが、彼女たちは自分の衣服には一着百万円のスーツも惜しみません。そのくせ親戚や友人・知人の交際費は少額でも惜しくてたまりません。細やかなものでも心を込めた品を通して、慶弔の意や感謝の心を伝えることができる喜びや人間関係の潤滑油になることを知りません。
たとえばある人は、目上の重病の親戚の人へのお見舞いに、途中まで行って、「やはり夫が帰ってきてから一緒に行く」と断りの電話を入れて引き返しています。その重病人の夫人の話によりますと、「僅かのお見舞い金でさえ、自分の財布からではなく、夫に出させるため」だそうで、それは本人の口から聞いたことがあったそうです。ケチが過ぎて心まで醜く見え、もう顔も見たくないと、重病人の夫人は怒っていました。
浪費家でいてケチな親は、育児に大きな悪影響
このケチ臭さの例もほかにたくさんありますが、参考になることでもありませんので、これ1つにしておきます。ここでほかにも、浪費家なのに人間関係の交際費をケチる親たちの更なる共通項で、特筆すべきことがあります。それは(もちろん例外はあるとはいえ、)子どもたちが、極端に常識外れか横着になることが多い、ということです。
私は何度も、食卓のない家庭で育った偏食の子どもたちの、精神教育への悪影響について語ってきました。(もちろん、貧しい中で親が一生懸命に働いて家を空けている、子どもの食事に気が回らない、というケースはまったく別です。)
この件に関して私の力がこもるのは、身近に接したこの人たちの、子どもの成長後を見届けているため、自信があるのです。
親子関係が完全に崩壊した家族が2件、そこまで行かなくとも、親を敬愛できない子どもが、ほかの大人への尊敬心や礼儀を身に付けられなかったケースを多く見てきました。
彼らは一様に、目上の人や他者へのマナー違反や無礼を平気で働く若者たちになっています。この子どもたちこそ一番の被害者だと、いつも私は腹立ちより同情を覚えてきました。
立原様も、季節外れの高価な果物代が惜しいというよりは、その金銭感覚の裏にある人間性や、それが育児や人間関係に及ぼす悪影響を問題にしておられるのだと感じました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら