優秀なリーダーは部下の前で「無能」を演じる 「意図的手抜き」で部下を育てよ
解説Ⅰ 弱点を利用する
私たちは、自分の弱点にとらわれがちです。あるべき管理者像を描き、それに至らない点を自分の欠点と思う。その欠点を補うために力みが出る。それが部下を受け身にさせる。真面目な宇貝課長は、その落とし穴に嵌っているようです。
マネジメントを職場のチームで分かち合うという観点に立てば、宇貝課長の優柔不断は問題ではありません。部下が「こうしていいですか」と提言する癖をつければよいだけの話です。宇貝さんは何も考えず「良きに計らえ」と言えばいいのです。きわめて効率的です。
マネジメントは現実の行為です。管理者の能力も部下の能力もマネジメントの与件、それを活かしてやりくりするしかありません。自分の弱点も活用すればよいわけです。
部下に光を当てるにはこの手がある!
宇貝の悩み②:会議資料づくりが苦手
宇貝:恥ずかしながら、私、資料づくりが苦手なんです。いつも部長に「言いたいことがわからん」と言われます。
中嶋:それならまだマシだよ。私なんか「書類にミミズが這ってるぞ」と言われたよ。
宇貝:優柔不断さが邪魔をして、結論を明確に書けないんです。ついつい言い訳がましいことを書いてしまい、全体がわかりにくくなるようです。
中嶋:それなら資料づくりを部下に任せたら?
宇貝:そんなこと、していいんですか?
中嶋:部下が作ってくれた資料でも、君の名前で提出すれば、君が責任を持つ資料だよ。君の部下の塩野君なんか、まとめ方も上手じゃないか。自分でやろうとしなければ、そこは部下の出番だよ。喜んでやってくれるよ。
宇貝:部下が私を馬鹿にしませんか?
中嶋:多少はね(笑)。でも可愛いと思ってくれるはずだよ。
解説Ⅱ 「意図的手抜き」のススメ
人間は自尊欲求の塊です。誰もが自分に光が当たることを望みます。だとすれば、苦手なことを部下に助けてもらうことは、職場運営にプラスの効果を持ちます。上司を助けることで、部下の自尊心が満たされるからです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら