トヨタが雇った再建屋は日立出身のセールスマン

名古屋グランパスGM・久米一正【上】

特にみっちり鍛えられたのが、書類の作成能力だ。

「日立はミスが許されない製造業らしく、実に書類が細かかった。本当に大変でしたよ。でも、そこで徹底的に書類作成を鍛えられたおかげで、GMになったとき、スポンサーの役員たちを納得させられるリポートを出すことができた。これは私が日立で培った武器の一つです」

後に久米は電化製品の説明書のようなGMマニュアルを作り、業界を驚かせることになる。

営業マンとして2年が経過したとき、突然、久米に異動の辞令が下った。久米が引退後、日立は日本リーグの2部に降格。その低迷するチームを立て直す役を命じられたのだ。

名門サッカー部の再建--。二つ目のターニングポイントである。

久米にはチーム作りのセンスがあった。あれこれ欲を出して補強するのではなく、「大学のキャプテンを獲得する」というコンセプトに絞って人材を獲得した。精神的な柱ができた日立は、わずか1年で日本リーグ1部へ昇格する。

このとき幸か不幸か、Jリーグ発足の波が突如としてわき起こり、久米は日立サッカー部(後の柏レイソル)を代表する形で、Jリーグ事務局入りを命じられた。ここで川淵三郎チェアマン(当時)や、各クラブの社長との人脈を作れたことが、後にGM業を行ううえで大きな財産になる。

少々ややこしい話だが、このときレイソルはまだJリーグに上がれず、下部リーグ(JFL)で苦しんでいた。これは名門日立にとって耐えがたい屈辱だった。そこで日立は久米を呼び戻し、強化を厳命。すると久米はまたしても短期間でチームを再建し、レイソルをJリーグへと導いた。

次ページ年収1300万円を捨てる
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 令和の新教養
  • 就職四季報プラスワン
  • 「脱ゆとり世代」のリアル
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
ビジネスに効く<br>最強の健康法

現代人の大きな悩みである健康。多忙なビジネスパーソンのため、すぐに実践でき即効性がある健康法を厳選。糖質制限簡易版に加え「ゾンビ体操」「これだけ体操」を大きなイラスト入りで紹介。健康経営、健康ビジネスに踏み出す企業も満載。