凍結する欧州経済--世界金融危機いまだ去らず
「ストライキは年中行事」と揶揄されるフランス。解雇に伴う補償金の支払いをめぐって、労働者は“暴徒化”している。
自動車大手のルノーやプジョーシトロエンの下請け部品会社、ニューファブリスの従業員は7月、ガスボンベを集めて工場を占拠。彼らは、会社が清算されるのに際し、法定解雇手当に1人当たり3万ユーロを上乗せするよう要求。認められなければ工場を爆破する、と予告する“脅迫事件”を起こした。
また、春先には米建設機械大手のキャタピラーやソニーなど多国籍企業の工場で、幹部が軟禁されるという事件が相次いで起きている。ストライキや工場設備の破壊も多発。産業革命期に英国で起きたラッダイト(打ち壊し)運動を彷彿とさせる毎日だ。労働者の怒りは頂点に達し、権利闘争の手段はしだいにエスカレートしている。
硬直化する労働市場 若年層の失業率20%台
背景にあるのは失業問題の深刻化だ。仏国立統計経済研究所(INSEE)によれば、海外県を除く同国の2009年4~6月期失業率は9・1%。世代別内訳を見ると、25~49歳は8・1%、50歳以上でも6・2%と全体を下回るが、24歳以下では23・9%に達した。「若い世代の大半は実務経験が乏しいため、失業期間も概して長くなる」(仏AFP通信社のカリン・プペ特派員)。