ソードアート・オンライン「VR実験」の舞台裏 仮想現実空間は、大きな可能性を秘めている
IBMが開発したのは人間の経験や知識を、自然言語解釈機能を通じて情報として取り込み、分析(すなわちワトソンなりの解釈へと咀嚼し)するソフトウェアだった。単純なデーターベースではなく、質問や問題、経験などの内容を理解することにより、”もしかすると、こうすればより良い結果になるかもしれない”との仮説を作り、その仮説が正解にどれほど近いものになるのか自己評価。その結果を学習することで、賢くなっていく。
導き出される結果は、新しく創造されたものであり、そのために状況を認知する必要があるため「認知的(コグニティブ)」なコンピューティングと名付けられたのである。
たとえば、著名な米クイズ番組「ジョパディ!」。ジョパディ!の特徴は、クイズの設問と答えが逆になっていることだ。たとえば、「赤くて甘い野菜で、砂糖とともに煮詰めて保存食としても使われるもの」という問題に対して「イチゴとは何ですか?」と答えねばならない。
実用化が始まったワトソン
IBMが開発したコグニティブ・コンピューティングAIのワトソンは、Wikipediaの内容を知識データベースとして組み込み、さらに過去問題の傾向を学習した上で、かつてのジョパディ!チャンピオンと練習を積むことで、より確からしい答えをごく短時間で導き出せるようになったという。
今では顧客サポート部門を支援するパートナーとなり、新薬開発のためにより高い治癒効果が期待できる分子配列を研究者に提案するといったクリエイティブな役割を果たしている。
仮想現実の世界において、参加者は自分自身が中に入り込んだように感じるが、そこにはさまざまな仕掛けが施されている。プレーヤー以外のキャラクターも多く、それぞれがパターンを持ったプログラムで動くのではなく、認知的に状況を把握するように動くことで、より現実社会に近いコンテンツへと発展できる可能性がある。
今回のイベントには本当のAIは使われていないが、コンテンツ中に”コグ”と名付けられた人格を持つAIがプレーヤーをサポートする。原作中に登場する”Yui”をもっとシンプルにしたような存在だ。
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