小宮山 宏・三菱総合研究所理事長、前東京大学総長--『課題先進国』の日本、先頭を走る気概を持て


 中でも高齢化は21世紀の人類全体の問題。日本だけの問題ではない。中国も2025年に人口のピークを迎えますから、50年になる前には地球全体が高齢化するはずです。今抱えている三つの課題を日本が解けば、世界の次のモデルを生み出すことになるわけです。

今日本がやるべきことは明確。低炭素で環境フレンドリー、そして高齢者が生き生きと参加できるような、街をつくることです。「プラチナシティ」とでも呼ぶべきもの。それを各エリアでつくる。これが日本の再生につながると思います。

--日本が国際標準を構築していける好機に立っているのですね。

国際標準をとることが大事というのは、嫌というほどわかるのですが、ヨーロッパと同じ土俵で標準化の競争をしても勝てない。彼らは標準だけで生きていこうと思っている。アメリカはいざとなったらば規格を自分で変えてしまう。昔からそうですよ。平泳ぎで日本が勝つと潜水泳法が禁止されちゃう。スキージャンプで日本が金銀銅を独占すると、スキー板の長さを決めちゃうわけだよね。そういうのって悔しいけど、アングロサクソンの得意技です。

だから、そこだけをとらえて日本が弱い、弱いと言っても仕方ない。そんなことよりも、日本が抱えている諸問題を技術力で解決して、それを社会で実践し成功することが大事です。結果的にそれがスタンダードになっていく流れは十分にある。

日本は、高齢者が自由に街を動けるためのパーソナルモビリティだとか、介護支援ロボットだとか、在宅医療のチェックシステムだとかね、この分野では圧倒する技術を保有している。モノづくりと一体化した社会の姿を構築できれば、自然と国際標準もとれると思っています。

--そのための実証試験を全国の「プラチナシティ」で実践していくということですか。

日本は北海道から沖縄まで南北に長い。しかも真ん中に山脈があり、気候も多様。そこで各県のエリアに、低炭素で環境に配慮した、高齢者にも最適な街をつくっていく。日本で住みやすい街をつくれば、海外でも活用できる。そう確信しています。

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