弁護士は「婚前契約」をしないと結婚しない? 弁護士の婚活事情最前線<2>

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パートナー弁護士として活躍する紀彦は、働き盛りの34歳。勤務先は、企業の海外展開の支援に強みを持つ渉外系のブティック型系法律事務所である。事務所の創設者は、大手事務所から独立した弁護士で、一流の事務所で培った企業法務のノウハウを生かした質の高い仕事が評判を呼んでいる。

そんな精鋭揃いの事務所の中でも、紀彦の独禁法の知識の豊富さにかなう者はおらず、周囲の弁護士からも頼りにされている。優秀な企業法務弁護士の多くがそうであるように、紀彦も留学経験があり、ニューヨーク州の弁護士資格も持っている。

やはり激務の毎日で、休日も事務所へ行くことが多いそうだ。あまりの多忙さに、最近自身でアソシエイトを採用したという。もっとも、自分が今まで勉強や仕事で苦労したことがない紀彦は、後輩の仕事の出来に満足できないことが多いようである。

「実は、アソシエイトを雇ったことは若干後悔してるんです。本当は自分で全部こなした方が早いですし、部下とのコミュニケーションもなかなか大変じゃないですか。」

ノブレス・オブリージュとは一体?

企業法務の事務所というと、お金儲けに精を出し、弁護士の本来の使命である人権擁護を軽視しているのでは、とうがった見方をする人もいるが、紀彦はプロボノ活動も重視しているという。しかし、高度な要求の多い大手企業相手の仕事をしながら、多大な時間・労力を必要とするプロボノ活動をすることは可能なのだろうか。

「ノブレス・オブリージュ、ですよ。」

急に難しい横文字を使われ、思わず意味を聞き返すと、紀彦は誇らしげに答えた。

「分かりやすく言えば、優秀な者はそれを社会のために還元する義務があるということですよ。だから、僕のような真のエリートが何もしないというのは許されないんです。」

自らを真のエリートと称して憚らない紀彦の独特の雰囲気に気おされながらも、とりあえず本題に入ることにした。

こちらが戸惑いを覚えるほどじっと目を見つめて話し、神経質そうにたびたび眼鏡を外しては拭く。交渉相手としては手ごわいかもしれない紀彦だが、彼女と家でDVDを見ながらまったり過ごす姿はちょっと想像できそうにない。

そんな紀彦の恋愛遍歴を聞くと、学生時代に何人か付き合った女性はいたが、女性と付き合うことに生産性が見いだせず、その後特定の彼女はいないそうだ。

それでも紀彦のスペックにひかれて寄ってくる初対面の女性は結構多いという。また、付き合いで行く銀座の高級クラブの女性からもよく連絡がくるそうだ。しかし、自分が興味のない女性から言い寄られても煩わしいだけだと言って、紀彦はちっとも嬉しそうではない。

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