外資系証券マンが抱える婚活の深い悩み 東京の「婚活事情」最前線<6>
都会の最前線では、天が二物も三物も与えたような、驚くほどに何もかもに恵まれた人間に遭遇することがある。その中でも、高学歴、高身長、高収入、そして美しい顔を持っている男。そんな男は女のそれより市場価値も希少価値も高い。
「女はひと通り見ちゃった」
職業:外資系証券会社のセールス
年収:約1300万円
出身:都内
出身大学:慶応
住まい:麻布十番
家賃:20万円
交際ステータス:独身
悩み:金欠
チャームポイント:アヒル口
「俺なんかの話でいいんすか? 別に面白くないっすよ」
新しい遊びを見つけた少年のように、人懐こそうなアーモンド型の目に好奇心を潤ませこちらを伺う青年。長身をバーのスツールに預けながらも落ち着きのなさを隠すことが出来ず、ブラックベリーを指先でトントンと小刻みに叩いている。
哲哉は慶応大学を卒業後、某外資系証券会社に就職した若きエリートで、さらに180cm近い長身と日本人離れした彫りの深い端正な顔立ちをしている。職業はモデルだと言っても誰にも疑われないほど、自他ともに認める美青年だ。そして、こんな経歴の美青年を東京の女たちが放っておくわけもないが、哲哉も期待を裏切らない遊び好きで、かつ自分の魅力を十分に自覚している。
「女? もう一通り見ちゃった感じありますよ。OL、お嬢様、女子大生、グラドル、モデル、キャバ嬢、銀座のお姉さんとか? それなりに有名な女優とかじゃないと、もう別に驚かないっす」
唇をとがらせながら得意げな口調で語る反面、目線は宙でキョロキョロと動き、表情や態度には幼さが残る。哲哉はその地頭の良さや品のある外見とは裏腹に、幼心のまま大人になってしまったような性格だ。その毒ともとれるズケズケとした物言いは生意気ではあるが、きっとそれも愛嬌として許され周りに愛されてきたのだろう。美青年の価値はそれだけ高い。