外資系証券マンが抱える婚活の深い悩み 東京の「婚活事情」最前線<6>
哲哉は、この業界の男たちによく見られる傾向だが、夜遊びが大好きだ。六本木や西麻布エリアの怪しげな隠れ家バー、カラオケやクラブといった賑やかな場所、ガールズバーやキャバクラといった水商売の店を会社仲間や「俺を可愛がってくれる先輩」と呼ぶ金持ちの社長のような派手な男たちと毎晩のように徘徊している。
そしてこれもまたよくある話だが、多忙で優秀と呼ばれる男たちほど睡眠時間など皆無なほどよく遊ぶ。
哲哉は「モテ」の代名詞であるような会社名と甘いマスク、十分な稼ぎと、同じように質の高い仲間と戯れ、さらに20代の有り余る体力を武器にこの都会を存分にエネルギッシュに満喫している。
意外とまともな哲哉の結婚観
そもそも、本気で好きな女なんて、簡単にできない。
「結婚? んー、30くらいでしたい。今のうちにやりたいことやって、遊んで、全部見てから。結婚してから浮気とかしたくねぇじゃん。ウチの業界って結婚生活破綻してる人すげぇ多いんだけどさ、そんなのカッコ悪ぃじゃん。そういう話聞いて、結婚したくないって奴もいっぱいいるけどさ」
激しい夜遊び話から一転、結婚観については意外にまともな発言をする。確かに、都内で裕福な夫婦ほど、実は不仲だの、金銭問題でモメているだの、離婚間近だの、結婚生活に関するネガティブな話を実によく聞く。
「結婚するってことは腹くくって責任とるんだろ。ちゃんと好きな人ができたら俺は結婚したいけどな。まぁ30くらいが理想だけど」
若い頃に思う存分遊びきった者ほど家庭に入ると落ち着き、よい親になるなどとよく聞く話だが、本当だろうか。
しかしこんなに需要がありそうな、しかも本人も遊び好きだと断言している男が、30そこそこで誘惑の場から離れ家庭で大人しくしている様子など想像ができない。逆を言えば、そんな外資系証券マンは少数派とも言えるのではないだろうか。
「いや本当だって。確かに遊んでるけどさ、そもそも本気で好きな女なんて簡単にできねーじゃん。だからできたら普通に結婚も考えるだろ」
遊びと本気は別物なのだという。
哲哉は、「本気で好きな女ができた自分」、「落ち着いた自分」を理想と掲げるのさえも生き生きと自慢気だ。
とは言え、若くして勝ち組な男にとって結婚を真剣に考える必要など、少なくとも今はない。