61. 江戸中期を代表する戯作者の山東京伝は1791年洒落本3作が禁令を犯したとの理由で手鎖50日の処分に
62. 恋川春町は1788年に執筆した『鸚鵡返文武二道』が定信の文武奨励策を風刺していると幕府に呼び出し
63. しかし春町は病気を理由に出頭せず、89年4月に隠居すると、7月に死去。その死には自殺説もある
64. 1830年からの「天保の改革」ではさらに風俗取締りが強化。人情本の為永春水や柳亭種彦などが処分される
65. 明治に入ると大日本憲法が制定され、その26条によって国民の通信・信書の自由・秘密が保証された
66. 検閲を行なうには法律の根拠が必要になるが内務省は讒謗律や出版法、治安維持法などに基づき書物を審査
内容の不都合を決める人は時代によって
67. 内容に不都合がある場合は、発行、発売、無償頒布などの禁止や、一時差し止めする検閲を行っていた
68. 当時の押収物は内務省の保管書庫に収められていたが関東大震災によって書庫が焼失
69. 現在、国会図書館に収蔵されている発禁本は関東大震災後の1923年秋以降に処分されたものが中心である
70. 内務省による発禁処分は明治にはじまり、昭和20年終戦によって日本が連合国軍占領下となるまで続いた
71. 大正から昭和にかけて国内で出版と発禁を繰り返しているのがエミール・ゾラの小説『女優ナナ』の翻訳本
72. 1923年には印度学会訳の『カーマスートラ(性愛の書)』やボッカチオ『デカメロン』も発禁になっている
73. 日本の古典で戦前、幾度も発禁処分にあっているのが『好色一代男』で知られる井原西鶴の作品群である
74. 落語や歌舞伎の演目として人気が高い三遊亭円朝の『怪談乳房榎』も1927年に発禁になっている
75. 1932年にはプロレタリア文学の代表作家・小林多喜二の『沼尻村』が発禁。翌年、築地警察署で死亡する
76. 1939年新潮社から発売された『江戸川乱歩選集 第6巻』が発禁。なかには『黒蜥蜴』が掲載されていた
77. 1930年に発禁となった酒井潔の『エロエロ草紙』はキスの作法やデートの仕方を掲載した男女交際指南書
78. 1924年『大震火災に現われたる哀話と美談 小学児童の罹災実話と其感想文』や1933年『小学生の読む陸軍読本』
79. 1939年には『慶應義塾大学講座 経済学』(慶應出版社)や『最新日本地質学』(日本鉱山地質学会)
80. 『式辞挨拶弔辞演説集』(本郷書院)、1940年『家相方位建築宝典』(春江堂)なども発禁処分になっている
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