天坊昭彦・石油連盟会長(出光興産会長)--“補助金漬け”には疑問、再生可能エネルギー開発
暫定税率の廃止については、石油業界では石油ユーザーの声を反映して言ってきた。これが、道路財源に余裕が出てくるから、その部分は別のところに使うようにしようという議論が出てきたときに、それだったら「暫定税率を引き下げろ」とわれわれは主張した。それがだんだん、一般財源化という話にすり替わってきた。それは、おかしな議論だ。
--国の目標として「原油自主開発比率を30年までに40%へ拡大する」と設定されていますが……。
自主開発油田の拡大に取り組んではいるが、実は日本に生産物(石油)が入ってくる形での油田開発はそれほど多くはない。エンバーゴー(石油禁輸)が起きた場合、従事している海外の開発油田から、本当に石油を国内へ持ってこられるかは怪しい。それにもかかわらず、何がなんでも日本が自主開発油田を確保するという理由がよくわからない。
石油元売り会社にとって、油田・ガス田開発を手掛ける石油上流事業はリスクヘッジになる。原油価格が上昇すれば上流は儲かるからだが、日本では主として上流専業会社が補助金をもらって開発している。これはまったく生産物が日本に入ってこない。原油高で儲かっても、配当して終わり。これではどうしようもない。
元売りが上流もやれば、自社の中でその調節ができるだろう。上流から下流までの一貫操業を進めていくという取り組みが、国の政策として必要なのではないかと感じる。
--国内需要が減少する中、石油精製・元売り各社は石油製品の大幅減産に踏み切っています。こうした供給過剰を是正するには、石油業界のさらなる再編が必要なのでは。
新日本石油と新日鉱ホールディングスが経営統合するのは、両社にとってメリットがはっきりしているからだろう。だが、労力の大きさを考えると、出光興産にとってはほとんど統合のメリットが感じられない。
むろん、石油製品需要に対して製油所やスタンドの数が多すぎるのは事実。その点から言えば、隣接しているコンビナート、製油所など“地縁”による連携は事業効率の向上につながる。実際、出光も千葉のコンビナートでは三井化学と連携し、一体化したオペレーションで合理化効果を生み出している。