天坊昭彦・石油連盟会長(出光興産会長)--“補助金漬け”には疑問、再生可能エネルギー開発


 供給過剰の是正は合併という形でなく、市場に連動した製品価格での販売を通じてできると考えている。出光では08年10月から石油製品の卸価格の決定方法を見直し、従来の生産コストベースに代わって、製品のスポット価格などの変動を毎週、卸価格へ反映させる制度を導入した。今では日本の石油元売り会社の大半が採用している。

コストベースのままだと、(製品需給が反映されないため)石油製品をその時点で生産したほうがいいかどうかがわからない。その結果、「自社の製油所には競争力がない」とうすうす感じていても、明らかにならないから潰すことができなかった。

市場価格をベースにすれば、国内製品と海外製品の価格には裁定が働く。そうした中で利益を上げることができれば、国際競争力のある製油所ということになる。反対にいつも負けている製油所はもう動かせない。そうなれば、1~2年経たなくても、ウチはここが弱いからどうしようかという会社が必ず出てくる。

--同業他社が石油以外の事業として再生可能エネルギーを前面に押し出す中、出光興産は有機ELなどの電子材料やアグリバイオ事業といった新規事業に注力しています。

エネルギー事業者として新エネルギーの問題を考えていないわけではない。有機ELと太陽電池は材料の有機化合物が類似していて、電気を流すと光る有機ELに対して、光を電気エネルギーに変換する太陽光発電は、順序が逆になるだけの話だ。

現在、有機ELが液晶の競争力に勝てず、電機産業からの受注が進まない理由は、有機ELディスプレーが真空蒸着装法という非常に特殊な方法で製造されているため、大型化が進まないことが背景にある。

これを塗布型にできれば非常に安いコストで製造でき、しかも液晶のようにバックライトがいらないため競争力が出てくる。太陽光パネルも塗布型で製造できれば非常に安いコストで生産できるようになる。このような技術開発が進めば、太陽光発電パネルの市場にも参入したいと考えている。

バイオ事業ではセルロースを使ったバイオエタノールの技術開発を進めている。ただ、日本国内の木材を使うには限界がある。東南アジアの食料に適さない植物からセルロースを取り出し、バイオエタノールを生産できるなら、「地産地消」での事業化も可能だと思う。

(聞き手:鈴木雅幸、松崎泰弘 構成:中原美絵子 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済)

てんぼう・あきひこ
1939年生まれ。64年東京大学経済学部卒業、出光興産入社。2002年、創業家以外から25年ぶりに社長就任。09年6月から会長。08年5月から石油連盟会長を務める。

※インタビューは8月上旬に行われました。

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